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「おはようございます」

 アラームの音に起こされて目を開けると、流暢だか無機質な音声がそう告げる。おはようと返事をすると、部屋の電気が点いてカーテンが開いた。朝日が差し込んでくる。

 体を起こして立ち上がると、今日の天気やら予定やらを教えてくれる。

「あれ、今夜北野さんとご飯の予定じゃなかったっけ」

 顔を洗ってさっぱりしたところで、ふと覚えていた予定と異なることに気付く。

「昨夜、先方よりキャンセルの連絡がありました。急な業務が入ったそうです」

 そういうことであれば仕方あるまい。

 数日前から楽しみにしていたため、本心では少し残念だ。その気持ちをうまく相手に伝えてくれるように頼むと、承諾と共にいくつかの返答案を読み上げてくれる。

 その中で一番良いと思ったもので相手に伝えるよう依頼すると、一言「かしこまりました」とだけ返事があった。

 軽くシャワーを済ませてリビングに戻ると、用意されていた朝食を口に運ぶ。

「次からトーストはもう少しバター多めで」

「かしこまりました」

 家を出る支度を済ませて玄関に向かう。帰宅までに一通りの家事を済ませておくように頼む。

 靴を履いて玄関を出ると、背後のドアから鍵が閉まる音が聞こえた。

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