香水

「それ、きっと香水だよ」


 彼女はそう言うと、まるでイタズラがバレた小学生のようにカラカラと笑った。

 どうして女の子はみんないい匂いがするのか、なんて馬鹿丸出しの質問。きっと化粧品とかシャンプーとかかなぁと僕は聞いた。


「でも香水って、どーるちぇあーんどがばぁーなぁーとかの香水ってこと?」

「そ。その香水」


 そんなにいい匂いのするものだったっけ。

 家に置いてあった母さんや父さんが使ってる香水を、何度かこっそり使ってみたけどただただ臭かった覚えがある。彼女はまたカラリと笑う。


「じゃあ今試してみれば」


 そう言って、彼女は僕を抱きしめるかのように腕を広げた。


「はい、どーぞ?」


 ああ。やっぱり彼女には一生敵わないのだ。

 餌に引き寄せられる獣のように、クラクラと彼女に近づいた。

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