女性専用の浴場になってしまった
「はあ、たまりませんわね。」
「はい。肌はしっとりとして、プルンプルンしてますし、浴槽で火照った体が気持ちよすぎます。」
「それに、お風呂上がりの果汁が美味しくて……」
「それ、ガルラ様のオリジナルブレンドで、飲みやすい濃さと甘さなんですよ。」
「ギルドで商品化を検討中なんですよ。」
「なあ、何で離れの居間が休憩所になっているんだ?」
「浴場に休憩所が無いからよね。」
「はい。くつろげるソファーがあって、冷温庫に飲み物が冷えていて、最高ですわ。」
「それで、マッサージとオイルの調合は覚えられそうか?」
「ガルラ様、それなんですが。」
「何?」
「できれば、何人か希望の里から雇う事はできませんか?」
「希望の里?」
「親のいない子供が暮らす施設です。当家にも3名、施設の出身者がいます。」
「宰相から、今回の事は全面的な支援を得ているから、何人でもいいですよ。メイド長の判断でいいですよ。ここは部屋が空いてるので、住み込みでもいいし。」
「ありがとうございます。子供たちも喜びます。」
3日後、離れが一気に賑やかになった。
6名の見習いが増えたのだ。
「10才から14才の子供たちです。こちらがこの離れのご主人であるガルラ様です。ご挨拶を。」
「「「よろしくお願いします。」」」
「ああ、よろしくね。」
「では、厨房に行ってライザの指示に従いなさい。」
「「「はい。失礼します。」」」
子供たちは俺の部屋から出ていった。
「さて、ガルラ様。」
「は、はい。」
何だか、今日のメイド長は妙な緊張感がある。
「お嬢様から指示がございましたので、今日は少しご指導をさせていただきます。」
「し、指導ですか?」
「ガルラ様は十分な資産をお持ちですし、陛下や宰相様、お嬢様からの信頼も厚いので準貴族と考えられます。」
「貴族になる事はないけど、確かに金銭的な余裕はあるかな。」
「つまり、私たちメイドから見て超優良物件というヤツです。」
「なにそれ……」
「側室どころか、うまくいけば正妻も狙えるという事で、今後は貴族や商家が接触してくるのは間違いありません。」
「何で?」
「この屋敷は、貴族街で一番目立っていますし、私自身もガルラ様についてよく聞かれますからね。」
「それで、俺には嫁も側室ももつ気はないんですが……」
「その気はなくても、既成事実を作って、妊娠してしまえば目的は達せられます。」
「いや、俺は……」
「ガルラ様にその気がなくても、刺激すれば男性は反応してしまうし、男性は定期的に射精するものだという事はお嬢様もご理解されています。」
「お、俺は……」
「でも、お嬢様にもお立場がございますので、結婚前にあれ以上の事はできません。」
「し、知ってるの……」
「私はお嬢様の教育係でございます。」
「だ、だけど、あいつを嫁にできるような男になれと言われた……」
「それまで、射精を我慢できるんですか?」
「わ、わからない……」
「教えてあげましょう。数日中に、あなたは夢の中でエッチなことをして、射精します。」
「そんな事……」
「男性の体は、そのように出来ているのですよ。」
「ど、どうしたらいいんだ?」
「定期的に射精すればいいんです。」
「どうやって……」
「簡単ですよ。こうやって刺激してやって……」
「あうっ……」
「胸とか触ってもいいですよ。」
「いいの……あっ……」
「何だったら、最後までいってもいいですよ。私が側室なら、お嬢様にも都合がいいですし。」
「あっ、ダメ……」
俺はメイド長の手に射精してしまった。
「これからも、我慢できなくなりそうだったら言ってください。お手伝いしますから。」
メイド長は衣服を直して部屋を出ていった。
メイド長の胸は、王女よりも大きくて柔らかかった……
その翌日、王女と二人になってしまった。
「アンの胸はどうだった?」
「えっ……」
「私よりも大きくて柔らかいのよね……」
「い、いや……」
「気持ちよかったの?」
「な、何が?」
「アンの手で射精しちゃったんでしょ!」
「うっ……でも、王女の時の方が……」
「な、何を言って……」
「今だって、キスしたくて……」
「キ、キスだけなら……」
俺たちは唇を重ねた。
「どこまでやればいいんだ……」
「今日、後でお母さまが来るわ。」
「王妃さまが……」
「お母さまと貴族の女性を味方につければ、一歩前進よ。」
「何歩進めばいいんだよ!」
「その気持ちを、きちんと制御できるまでよ。」
「えっ?」
「今は気持ちよくなりたいだけでしょ。」
「そ、そんな事は……」
「私は、君が隣にいてくれて、キスしてくれるだけで満足できるわ。」
「お、俺は……」
「昨日アンに出してもらったばかりなのに、出したいんでしょ。顔に書いてあるわ。」
「だって……」
「ともかく、今日はお母さまが来るんだから、これ以上は禁止よ。」
「くっ……」
王妃は、夕方になってもう二人連れてやってきた。
「ガルラ、久しぶりね。」
「ご無沙汰しています、王妃様。」
「あら、まだお義母さまとは呼んでくれないの?」
「えっ?」 「お母さま!」
「だって、聞かされるのはガルラの事ばかり。給水器がどうした、空調機が出来そうだ。今回も、女性用の浴場がとんでもないってね。」
「し、仕方ないじゃないですか。全て、国民のためになるニュースばかりなんですから。」
「自分の考えが実現されて、国民の喜ぶ顔が見られるのを嬉しく思っているんでしょ。」
「そ、そうですわ。」
「だったら、早くガルラをつなぎ留めないと、エマールにとられてしまうわよ。いいのかしら、それで。」
「こ、困ります!そんなの。」
「今日の局長会議でも、早く貴族の娘を嫁にとらせて、爵位を与えろってね。もう、ガルラの事は国として考えないといけない状況なのよ。」
「では、もし私が嫁に行くと申し出たら……」
「具体案として出ているのは、宰相がガルラを養子にして、そこに嫁がせるか、ガルラを婿にとって、王族に迎えてしまうかよね。」
「それって……」
「王族になれば、国政に参加させる事も可能だわ。商業ギルドとも深いつながりがあるし、シャイを産業局長にして、ガルラを副局長にしたら、国はもっと発展するわよ。」
「私が産業局長に……」
「そうすれば、いちいち陛下の許可を得なくても、自分の裁量でできる事も増えるわ。国民の役に立ちたいのなら、それくらいの決断はなさいな。」
「国の……」
「相変わらず王妃様は厳しいですわね。」
「でも、養子になるとしたら、この人は私たちの義弟になるのね。」
「えっ?」
「ああ、紹介がまだでしたわね。こちらは次期公爵夫人のアイシャと次期侯爵夫人のサーシャよ。」
「あっ、初めまして、ガルラです。」
「うふふっ、まさか屋敷の庭に浴場を作ってしまうなんて、驚きましたわ。」
「何でも、家の中は驚くほど変わっているのだとか。見るのが楽しみですわ。」
「まあ、そういうのは後にして、女性用の浴場というのを体験させていただきましょう。」
「はい、王妃様。」
3人は王女と一緒に、浴場の建屋に入っていった。
当然だが、同じ数のメイドさんが、荷物を抱えて後に続く。
多分、3人の着替えや化粧品が入っているのだろう。
【あとがき】
女性の浴場
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