大切な事
TatsuB
第1話 不思議な電話
某警察署に一件の連絡が入った。
警察A「某住所で火災発生。身元不明者1名。」
私は「身元不明者…ダメだろうな」と思い、現場へ直行した。
現場に到着すると、消防隊員が懸命に消火活動をしており、消火が終わると現場検証を開始した。
すると、リビングで黒く灰になった遺体を発見した。
「あぁ、この遺体が身元不明の方だろうな。。」
そう思いながら、遺体を検死の担当者が引き上げていった。
後日、火災の処理事務をしていると、刑事課に一本の電話が鳴り響いた。
私「はい、こちら刑事課○○です!」
???「・・・」
電話に出ると、相手は無言であった。
「いたずらか?」
と思い、そのまま電話を切って作業に戻った。しかし、しばらくすると同じことが繰り返された。
「電話がうるさくて仕事にならないぞ!!」
とみんながイライラし始めると、課長が何とも言えない顔で指示を出した。
課長「あの火災現場の近隣住民に聞き込みをして来い!」
「聞き込みはしたんだけどなぁ」と思いつつ、指示通り聞き込みに出かけた。
今回の聞き込みで新たにわかったことがある。
近隣住民によると「そういえば、老犬を家で飼っていたなぁ。」と
これを課長に伝えると、もう一度現場を調べてこいとのこと。
再び火災現場を捜査していると、固定電話の横の瓦礫に動物の遺体を発見した。
それを見て、無言電話の意味を理解した。
その後、遺体と老犬を一緒に弔うと、無言電話はぴたりと消えた。
あの時の課長の何とも言えない顔がどうしても気になり、私は課長に聞くことにした。
私「あの時、どうしてあの指示を出したんですか?」
課長「あぁ…昔も似たようなことがあってな。まさかと思って指示したんだよ。」
「そしたら、まぁ…また、こんなことが起きるとはな!これで仏さまも安心しただろう。」
課長は笑いながらそう話していた。
「あの仏様はずっと愛犬のそばで助けを求めていたんだろうな。」
そう思いながら、一つの事件に幕を閉じた。
大切な事 TatsuB @TatsuB
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