君が死ぬまでの記録1-0

瀬川

prolog

死にたい。死にたくてしょうがない。

死にたい。死にたい死にたい死にたい。死にたい。

死ねない。また死ねない。

死ねない死ねない死ねない死ねない。

朝か。


午前4時半。室温快適。外はまだ暗い。

喉が渇いた。水を飲むか二度寝するか。

横を見ると君がいる。幻覚では無い。

長い黒髪に小さな身体、鼻筋の整った君が。

どうやらまだすやすやと寝息を立てているようだ。

この子を見ると守らなきゃと思う、同時に殺してやりたいとさえ思う。俺の唯一の形見。精神安定剤。しかしこいつがいなければ。最初からああはならなかったというのに。


この馬鹿げた逃避行ももうすぐ終わるだろう。

俺も君もそろそろ限界が近い。いつ捕まってもおかしくない。食料やお金も底をついてきた。


限界か。


捕まったらどうしようか。

……逃げ切れたらどうしようか。

幸い国境はもうすぐそこだ。逃げ切れる可能性だって充分ある。その先のことを俺はまだ考えたことがない。

だって希望を持ったって、失望するだけだから。


そんなことを考えながら、水を飲むのも忘れ二度寝するのだった。

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