第26話
エリザは、商人の家の産まれである。
商家の子供に施される教育は特殊だ。詩吟よりも先に金の計算を覚え、礼儀よりも先に帳簿の付け方を覚えさせられる。寝ても覚めても金の事を考えてる子供が、"見込みがある"と賞賛される商人の世界。幸いにしてエリザには商才があり、汲めども尽きぬ強い欲があった。商人の世界へ、エリザはあっという間に適応した。
エリザは幼い頃から、我が儘な子供だった。目についた物は何でも欲しがり、裕福だった彼女の両親はそれを思うまま買い与えてやった。まだ子供のエリザが欲しがるものは彼らにとって大した値段では無かったし、出来の良い我が子の我儘はむしろかわいい物だった。
彼女に備わっていた【異能】も、可愛がられる一因だったかもしれない。
自分の異能、【
家族に愛されていた。商人としての才能が、素質があった。
幼く小さな世界の中で、エリザはあの頃たしかに無敵だった。
綻びが生まれたのは、いつの頃だったか。
まず初めに、エリザに知識がつき始めたのが破綻の一つだった。成長と共に彼女の望むものは高額になり、さしもの両親も無条件に買い与える事は出来なかった。
次に、両親の資金繰りが悪化した。遠い地域で起きた魔物騒ぎにより、収入源だった小麦の商いに支障が生じた。父は部下を怒鳴りつける事が増え、母親は帳簿を苦い顔で見つめる事が多くなった。
悪い事は重なるもので、この時期に大規模な寒波が街を襲った。作物は育たず、貧しい家の中にはチラホラと餓死者が出始めた。そして小麦の一件でダメージを受けていたエリザの家は、この寒波によりますます追い詰められた。
よくある事だ。悲劇と呼ぶにもおこがましい、よくある不運の一つ。
本当に?
「くだらねえ……! そんな言葉で、片付けられるものかよ……!」
エリザは、ずっと怒っていた。
この世界には、エリザの気に食わない事が多すぎた。
父が自分を叱りつける事も。ギリギリの経営に頭を掻きむしっている事も。母が自らの食事を減らし、子供たちへ分け与えている事も。美しかった貌に、痩せと疲れが現れ始めた事も。子供の頃よく遊んだ友達が、口減らしとして売られたと風の噂に聞いたことも。
気になっていた髪飾りの新作が買えなかった事も、常に魔物に生存圏を脅かされている事も、農法が未発達で飢えが身近にある事も、近所のパン屋のお婆さんが病で死んだ事も。
飢えも、乞食も、盗人も、死も。
この世界に溢れる、ありとあらゆる不条理を憎んだ。
自分の欲を阻む全てに、腹が立って仕方なかった。そして、何より―――。
「……この世界は、クソだ。こんなに許せねえ事があるのに、誰も彼も『仕方が無い』って
―――誰もが、それを当たり前と思っている事が気に食わなかった。
「幸せになるために産まれたんだ! 欲を叶えるために産まれたんだ! だったら何故、妥協なんてクソの肥溜めのような事をする!? 全く持って腹が立つ! この世界にも、俺にも!」
苦しんでいる父のように。疲れて笑う母のように。
この身の内で煮えたぎる欲から目を背けて現実へ妥協する事は、そっくりそのまま、自分を殺す事と大差ないように思えた。
もっと綺麗な服が着たい。斬新な演劇が見たい。美味い食事が食べたい。便利な道具が欲しい、早く移動したい、旅行に行きたい、空を飛びたい、誰もやった事が無い事をやってみたい―――。
その為には。
「……金が欲しい。人を動かして、『もっと素晴らしい何か』を研究させるための金が。このクソみたいな世界を変えるための金が。【英雄】でも無ければ、動かせないような額の金が……!」
空腹でぐずる弟妹を、母が何とか寝かしつけた夜。一人静かに家を抜け出したエリザの手には、一つの宝石が握られていた。月明りに照らされ、妖しく煌めいている。
エリザの家には、一つ家宝があった。【
それを、エリザは自らの眼に押し込んだ。
エリザには素質があった。商人としての素質が。そして、それを捨て、人間らしい幸せを捨て、妥協と諦めを捨て、現実と折り合いを付ける事を捨て、【
「ガッ……! グ、ギィイイイイイ……! 」
エリザの眼窩から、ボタボタと鮮血が流れ落ちる。凶行。痛み止めの【
「……聞け、クソッタレの宝石……! 俺は、これからの人生における『充足』を捨てる。『妥協』を捨てる。俺はこの先、何をしても満たされない。常に飢え続け、何かを欲し続ける一生を送る。俺はこの先、決して諦めない。何があろうが足を前に出し続けると誓う!」
通常。このような儀式が、実を結ぶ事は無い。【英雄】とは、そのように簡単な物では無いからだ。今回エリザが行った凶行も、普通であればただ少女の眼球が欠損したという結果に終わっていただろう。
だが、そうはならなかった。
エリザ以外の誰がやっても失敗しただろう。その上で、エリザは出来た。現実を否定し、条理を捻じ曲げる事が出来た。【英雄】ならば、当然の事だ。
「―――だから! 俺に、力を寄越せ……! この世界を変えるだけの金を! この世界を全て買えるだけの金を、それを可能にするだけの力を俺に与えろ―――!」
エリザの願いに、宝石は応えた。等価交換は成立した。
少し後、商国に新しい英雄が誕生する。有する異能は【
彼女が英雄に就任して最初に行ったことは、ある商会への寄付だと言われているが―――詳細は、未だ判然としない。エリザは二度と、その商会と直接関わろうとしなかったからだ。
なんで今さら、昔の事を思い出すんだろうな。
どうも。地下数百メートルからこんにちは。エリザ・ロン・ノットデッドだ。
「はあ……随分潜ったけど、これまだ最深部に着かないの? 私のふくらはぎがパンパンなんだけど」
「いや、今までの分と合わせて相当進んでいる。もうそろそろ、最深部……【迷宮の主】が待ち構える深奥に辿り着くぜ」
「その様ですね。実際、魔物の出現頻度も高くなっています……ほら、また来ました」
小休憩 (俺の【異能】で至極快適だ)を何回か挟み。俺たちはいよいよ、迷宮の最深部へ到達しようとしていた。
地下大迷宮の攻略は順調そのものだ。元々クライヒハルト卿だけでも十分だったろうに、俺とマリー・アストリアも居るからな。こりゃあ楽勝、勝ったな風呂入ってくる……と、言いたかったのだが。
「―――ふう」
ズズゥン……という地響きと共に、巨大な魔物が地に伏せる。倒れた魔物の背中に立つクライヒハルト卿は剣を仕舞い、軽く息を吐き出して汗を拭った。
……疲労。それに、出血こそないが多少のダメージも負っているな。
不安要素はこれだ。今までの一方的な瞬殺ではなくなり、戦闘時間が徐々に延び始めている。
理由は、迷宮の魔物が瘴気によって強化されている事……だけではない。クライヒハルト卿が、弱体化しているのだ。確かに今の魔物は強力だったが、以前のクライヒハルト卿なら一太刀で終わっていたはずだ。
いつからだ? ……思えば、初めて出会った時。道化を演じていた時のクライヒハルト卿が、最も強かったように思う。比較する気すら起きない、規格外の強さだった。世界最強の英雄という称賛すら、まるで足りていないと思えた。
そこから徐々に、気づかない程にゆっくりと彼は弱体化していき……今や、俺の眼にはっきりと分かるまでになっている。加速度的に、彼の弱体化は進んでいる。無論いまも強力な【英雄】である事に変わりは無いが、以前『本当に同じ英雄なのか?』と俺に思わせた異常性は鳴りを潜めている。
不安要素はもう一つ。
では何故、彼にそれを気にした素振りが無いのだろうか。
勇猛で知られるはずの俺の手が、僅かに震えた。これで、【迷宮の主】に勝てるのか? 彼の勝利に全てを懸けている、失敗は取り返しがつかない。クライヒハルト卿は他にも、色々と気になる点が多い。例えば、ウチの研究員と夜通し話している事も―――
―――いや。気にするな。全て、迷宮に比べれば些事だ。今はただ、迷宮の奥に進む事だけ考えれば良い。『迷宮の最奥へ、クライヒハルト卿を連れていく』。今はそれだけ考えれば良い。
「あ゛ー……クソ」
軽く頭を振って、思考を追い払おうとする。無理だと分かっている。
クライヒハルト卿を、迷宮の最奥に連れていけ。彼が『適合者』だ。彼を基点にすれば、瘴気の道が開く。あの男が言っていた。【天国派】の目標は、しかし、ああ……。クソ。
限界が近い。
眼の前には、階段がある。暗く、深く、仄暗い灯りに照らされる迷宮の最奥への階段が。
前にもこんな事があったな。そう思いながら、先導するように足を進める。
今になって、昔の事を思い出す。
あの時。迷宮へ罪人の男が逃げ、【英雄】である俺が直々に動かなくてはならなくなった時。
マリー・アストリアやグリゴールに語った事は、間違いでは無かったが正解でも無かった。男の反応は、迷宮内で途絶えていたのだ。まるで帰巣本能のように男は迷宮へ帰ろうとし、そして―――。
『あれ? あー……ひょっとしてコイツ、貴方たちの大切な人だった? 何となく殺しちゃったんだけど。ゴメンゴメン、今度君が嫌いな奴も一人殺してあげるから。それでチャラにならない?』
そして、迷宮の入り口には男が立っていた。
痩せぎすで、黒い肌の男。この世の災いを全て煮詰めたような、不吉の象徴のような男。
『僕? うーん……ま、それ位良いか。礼儀礼儀』
『ザジ。【天国派】所属、ザジ・シルバライン。君たちで言う所の、【魔人】って奴さ。どうぞよろしく』
魔人。極めて平易に言い表すなら、魔族の中に産まれる英雄。
常識として、【英雄】は【魔人】に勝てない。人類の上位種族である魔族、その上澄みに【英雄】は対抗する手段を持たない。
『―――【
『クソが……死ね、っぅう……! 俺の【異能】は、金銭を対価に可能性を改竄する物で―――』
精神系の【異能】の持ち主は、気が狂っている。以前マリーにそう語った事がある。あれは、実体験だ。【異能】は持ち主の認識に左右される。精神を操る異能の持ち主はつまり、そういう性格だという事だ……。人の心を好きに捻じ曲げて何の罪悪感も無い、生粋のクソ野郎。まして、それが人類の敵対種族である魔族ならば猶更だ。
『ふーん……良いね! 君すごく才能があるよ! 仲間になろう! 僕たちってもう友達だよね! 僕、君に出会うために産まれてきたよ!』
『……死ね……!』
減らず口を叩けること自体、奇跡に近かった。俺の【異能】が真に万能であることの証明だった。何とも虚しい『万能』もあった物だ。
『そうだなぁ……。あ、君の【異能】って、換金は出来るの?』
『……は?』
『"欲"とか"心"って言うのは、君の【異能】の中だと高いんでしょ? じゃあ、僕が捕まえてきた適当な人間の精神を"売って"、純粋なエネルギーへ変換する事も出来るんじゃない? そのエネルギーを使えば、もっと大規模な奇跡も起こせるようになるかも』
『――――――』
戦慄した。
この魔人の、あまりにも"終わっている"思想と、その発想力に。
だが、恐らく出来る。一度も使った事が無い、そして一度も使うつもりの無い、最低な【異能】の使い方だ。
人間の欲は尊く、高い。それは世界を変える最小単位の力で、不可能を可能にする為に必要不可欠な物だからだ。稀少で、美しく、だからこそ価値が高い……。それを、弄ぶなど。知識と発想を尊ぶ商国の英雄として、絶対にやってはならない事だった。
『い、やだ……それだけは、やってたまるか……!』
声が震える。怯えでは無く、あまりの怒りによって。制御を取り戻した右手が、ゆっくりと魔人を指さし―――
『
『【
ストンと全身から力が抜け、右手がだらりとぶら下がる。
分かっている。この魔人と俺との間に、隔絶した実力差がある事など。俺が曲がりなりにも口を利けているのは、俺の【異能】が万能であるという以上に、魔人が俺の抵抗を"心底どうでも良い"と思っているからだという事も。
『ま、いいや。長期間嫌がる事をさせると自殺しちゃう事もあるし。不確定要素は抜いとこうって事で。じゃあ、エリザには【迷宮】の管理を任せよう!』
俺の抵抗を見て、魔人は笑ってそう言った。
迷宮の管理。そうだ。瘴気を吸って成長する迷宮の、その世話係。吐き気のするような役目を、俺はここで決定づけられた。
『見てこれ。【降臨派】に頼んで造ってもらった、特製の【
曰く。この迷宮核は、彼らの計画の一つだそうだ。
瘴気は、触れた者の自我や知性を薄れさせる。ならば、最初から殆ど知性を持たない生命ならばどうだろうか。植物のように、薄く、『増殖』の為の思考回路しか持たないような生命―――。【迷宮の核】は、そのような
『僕の【
【
この迷宮を攻略しなければならない。迷宮の核に
瘴気に耐え得る器を見つけなければならない。迷宮の"手本"となる存在を探さなくてはならない。
迷宮を成長させ、『瘴気』を研究し、そして―――。
『えーと……「そして、君はこの事を忘れなければならない」、と。これで君にはただ、『迷宮を攻略しなくては』という使命感だけが残る。未踏が見たいんだろ? 誰もやった事のない事がしたいんだろう? 存分にすると良い。誰も疑問には思わないし、止めもしないさ。美味しい
存外に良い収穫だったなーと言って、魔人は消えた。次は巨人の集落だ、と忙しそうに。
後にはただ、迷宮攻略の熱意に燃えた【英雄】だけが残された。
そうだ。思い出した。思い出す事が出来た。
精神系の異能は陰湿で、周囲はほぼ気付く事が出来ない。本人でさえ、自分が【異能】の影響下にある自覚が無い場合すらある。
事実、俺は『技術発展の為、迷宮を攻略せねばならない』と考えていた。その為には、何をしようが許されると。実際は宿主の元へエサを運ぶ、働き蟻の役目を背負っていたにもかかわらず。
だが今、俺は"自分が異能の影響下にある事"に気付けている。
『諦めなければ、夢は絶対に叶う。次はもっと上手く、次の次は更に上手くやるさ―――【
あの時からだ。あの時、マリー・アストリアに【異能】を行使した時から。
あの時、【
それによって俺は自分がずっと【異能】の影響下にあった事を自覚し、しかしそれでも身体は自由に動かず、誰にこれを伝える事も出来ないような有様で。
自分に出来る事が、もはや一つしかない事を理解したのだった。
マリー・アストリア。シグルド王国王女。王にして英雄、そして、底知れぬ【異能】を持つ女。
クライヒハルト卿。シグルド王国第一騎士団団長。そして、世界最強の【英雄】である男。
この二人に、【迷宮の核】を討伐してもらう。【
ずっと、ギリギリなんだ。【異能】の影響下にあると気づいたところで、誰に伝えることも出来ない。今もなお、『迷宮を攻略しなければ』という焦燥感が胸の中にある。記憶を取り戻したことで、あの魔人が語る【異能】の悪用法も思い出してしまった。ふと気を抜けば、あの愛すべき
「……エリザ?」
階段をフラフラと下る俺へ、マリー・アストリアが心配そうに声をかける。
マリー・アストリア。お前はきっと、いい主になるよ。お前が、商国を訪れなければ。迷宮を攻略し得る人材を―――クライヒハルト卿を、連れて来なければ。
『迷宮を攻略しなければ』という焦りが限界に達した俺は、
「……俺の、【
「え? ……ええ。というかエリザ、凄い汗よ……?」
「どうでも良い。どうせ、ここが最下層だ……。俺が好んで使う【魔導具】も、一通りはこの迷宮探索中に見せたつもりだ。搦め手は多いが、お前とクライヒハルト卿に通じるような威力の物は少ない。とにかく攻めまくるのが、オススメだ……」
頭が痛い。
【
「……迷宮の、主は。殺しても、何の問題も無い……。既に、手続きは……終わって、いる……」
「エリザ……?」
そうだ。その時間を得られたことが、最も有難かったな。
もたれ掛かる様にして、ゆっくりと扉を開く。
巨大な石の柱に飾られた、神殿のような空間。中央には祭壇があり、一つの結晶が鎮座している。【迷宮の核】。それが、俺を呼んでいる。ずっと欲していた、"瘴気を克服した器"。それを確保するために、お前の力を貸せと。
その声に……そして、頭の中で響く【異能】に、俺は逆らえない。
「―――【
一瞬で、【迷宮の核】の元に転移する。そして、左目の宝石と【迷宮の核】を置換。
「ガッ……ァ、アアアアアアアアア!!!!!!」
役目を失った左目の宝石が、血に濡れて転がり落ちる。顔を押さえる。左目に嵌まった【迷宮の核】を起点に、全身が瘴気に浸蝕される感覚。皮膚の下を虫が何匹も這いまわっているような不快な感覚が俺を襲う。
耐えがたい不快感と激痛、そして【異能】に、俺は意識を手放し―――。
―――そして、目覚めた。
全身の感覚がクリアだ。頭が冴えて、自分が何をするべきかがハッキリと分かる。押さえていた顔を上げ、俺は不敵な笑みを浮かべた。
「……と、言う訳で。何とビックリ、【迷宮の主】は俺でした。騙して悪いが、死んでもらおう。商国の―――ハハッ! 人類の、更なる発展のためになあ!!」
マリー・アストリアを殺す。クライヒハルトを殺す。
二人の死体を確保し、瘴気を解明し、更なる知識をそこから引きずり出す。
知識が、智慧が、発展が、進歩が、俺の両肩にはかかっている。そうだ。その為なら何でも出来ると、心から信じられる。
「異能、【
ところで。
瘴気には知識の集積所のような物があるのではと、俺は考えていた。瘴気に触れた研究者たちは、そこから知識を引き出していたのではないかと。
事実、この考察は正しかった……。今の俺には、見た事も無いような斬新な知識が次々と流れ込んで来ている。この世界よりも、更に発達した世界。その世界の知識を、俺は【迷宮の核】を通じて手に入れる事が出来ている。
「―――これは。空を駆け、山を削り、ついには星へと至った人類の物語。
それを得た俺には、これが自分の【異能】と非常に相性が良い事に気付いていた。
だってここには、『理論上可能とされている物』が沢山あるのだ。俺たちより発展した知識で、技術で、信じられないほど高度な理論で仮組みされている物が沢山あるのだ。
俺の【異能】であれば、それを全て再現できる。
『理論上可能な物』ならば何でも引き寄せる事が出来る俺の異能と、瘴気に由来する大量のエネルギーがあれば―――!
「―――手を伸ばし、いずれ星にまで届く偉大なる旅路。 世界を変える、黄金に
バチバチと、空間に火花が飛び散る。俺の欲に応えて、瘴気が望みを叶えようと胎動する。
「―――【
静かに剣を抜くクライヒハルト卿と、未だ状況を呑み込めずアホ面を晒しているマリー・アストリアへ、俺は完成したばかりの"銃身"を向けた。
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