モーテルにて

 コンコンと部屋の扉をノックする音がする。


 「なんだ?チェックアウトの時間はまだの筈だが」


 私は白く柔らかいベッドから腰を上げて、扉を開けに行く。


 私が扉を開けるとそこには警察官の格好をした男が立っていた。


 「おはようございます。すいません、こんな朝早く。少し調査に協力してくれませんか」


 「あぁ、そういうことですか、ということはここらへんで何かあったんですか?」


 警察官の男はとある写真を見せてくる。


 その写真には、茶髪の6~7歳程の男の子が満面の笑みを浮かべて写っている。


 「その子がどうしたんですか?」


 「この子が5時間程前にこの森で行方不明になりまして、何か見ていないか、おかしなことはなかったかなどを聞いて回っているんですが」


 「すいません、ずっと部屋に籠っていたもので、何か見ていたりとかは...」


 「いえ、大丈夫ですよ。ところで、部屋で何を?」


 まずい...


 「あぁ...実は、有休で旅行をしていたのですが、急に会社のほうからとある資料の制作を頼まれまして、その資料を作っていました」


 警察官の男は、気の毒そうな顔をする。


 「それは、とても大変だ。会社は何をしているところなんですか?」


 まずいぞ...


 なるべく不自然のないように、汗を一滴もかかないように気を引き締める。


 「不動産関係の仕事で...]


 「おぉ、それは凄い。ちなみに、私、そろそろ引っ越しを考えているのですが、ここらへんで安くていい物件を知りませんか?」


「あぁいや、旅行で来ただけなので、ここの土地ことはよく知らなくて...」


「それは残念。では、ご協力ありがとうございました。それでは良い休暇を]


そう言って、警察官の男は去っていった。


「ふぅ...」


 私はため息をつき、鞄の中身を確認する為に、鞄を手に取る。


 鞄の中の、白い粉が入った袋を見て、ほっと、胸を撫で下ろす。


 「うん...?]


 私は、どこからか視線を感じ、感じた方向を見る。


 すると、カーテンの隙間から、目がこちらを覗いていた







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