・・・お互い両想いでも、どうにもならない事ってあるんだね。
神石水亞宮類
第1話 ・・・お互い両想いでも、どうにもならない事ってあるんだね。
俺には、“ずっと両想いの好きな女性がいる!”
彼女とは、正直上手くいかなかった。
彼女の父親が大手企業の重役をしており、彼女は父親が決めた相手
と結婚する事が決まっていたからだ。
俺と彼女は小さな頃から家も近所でよく遊ぶ仲だった。
同じように歳を取り小学校、中学校までは同じだったが、
俺の家は貧乏で俺の親は俺を高校には行かせてもらえず、
中学校を卒業したら働くように強要される。
俺はしぶしぶ、親から仕事を紹介してもらいそこで働く事に......。
彼女とは別々の人生を進んで行く事となるが、お互い時間があれば
この時も会うようにしていたし、もうその頃になるとお互いの気持ちを
確かめ合い20歳を超えたらお互い一緒になろうと約束までしていたんだ。
・・・彼女の両親も、彼女を20歳までは自由にさせていた。
だから、俺が中学を卒業して仕事を始めるようになると俺は会社の
寮に入り彼女が何度も俺の住む寮に遊びに来てくれていたんだ。
『“俺達、大人になったら結婚しような。”』
『うん。』
『ちゃんと俺も仕事頑張ってお金貯めてさ、美尾と一緒に住みたい!』
『そうね、でも拓ちゃんは大丈夫! 頑張り屋さんだし、私の事を大事に
想ってくれてるのも分かるから!』
『あぁ、絶対に美尾を俺が大事にする!』
『嬉しい!』
『“これからも俺とずっと一緒に居てくれる?”』
『勿論よ!』
*
・・・でも? その願いは叶わなかった。
彼女は俺にずっと内緒にしていた事があったんだ!
彼女の父親から彼女は既に、好きでもない男と結婚させられる
事を知っていたんだ。
その事を俺にずっと彼女は黙っていた!
そして彼女が20歳になった日、俺の前から消えた!
その後、彼女は好きでもない男と結婚させられる。
正直、俺にはもうどうする事も出来なかった。
彼女も親が決めた男と結婚しないと? 会社が倒産するかもしれない
と彼女の父親に半分脅かされて結婚したらしいのだ。
・・・俺が彼女が結婚した事を知ったのは、そこから3年後。
彼女から突然! 俺に電話がかかってきたからだ!
【プルルルル プルルルル プルルルル】
『・・・あぁ、はい、』
『拓ちゃん!』
『・・・み、美尾、美尾なのか?』
『“うん、一度! 会える?”』
『勿論だよ。』
『じゃあ、また連絡する。』
『うん!』
・・・こうやって彼女とは3年ぶりの再会!
でも、待ち合わせ場所に現れたのは彼女だけじゃなかった。
そう、“彼女は子供を抱いて俺の目の前に現れたんだ!”
『・・・そ、その子? 美尾の子なのか?』
『うん、私の子よ。』
『“誰の子なんだよ?”』
『私、3年前に親が決めた男性と結婚したの! その男性との
子供よ。』
『だから3年前に、急に俺の前から姿を消したのか?』
『・・・うん、ごめんね。』
『“今もその男と一緒なのか?”』
『半年前に、彼とは離婚したの! 父が会社を辞めたから。』
『・・・そ、そっか、じゃあ今はその子と二人だけ?』
『うん!』
『“じゃあ、ウチに来ないか? 部屋は狭いけど、二人ぐらい食べさせ
ていけるお金も少しは蓄えはあるんだ!”』
『・・・で、でも?』
『いいんだ! ずっともう諦めてたから、』
『“結婚?”』
『そう、急に美尾が居なくなるからだ。』
『“本当にごめんなさい。”』
『謝らなくていいよ! もう終わった話だし、これからは一緒に
居られるんだろう?』
『えぇ、そうね!』
『うん。』
もう俺は彼女が俺の前から消えた日から“恋愛や結婚は諦めていた!”
愛する彼女が俺の前から消えた日、俺の恋も終わったと......。
でも? まさかこんな形でまた戻って来るなんて、、、!
俺は幸せだよ。
俺とは血の繋がらない子供でも、彼女の血を引いていれば俺はこの子を
心から愛せる!
二人を俺が幸せにしたいと想えるようになった。
俺の生きがいは、“愛するふたり!”
これからも俺の命を懸けて、二人を守っていくと心に決めてるよ。
“愛する者を守っていける幸せを今の俺は噛みしめている!”
・・・お互い両想いでも、どうにもならない事ってあるんだね。 神石水亞宮類 @kamiisimizu-aguru
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