彼女の追憶

第2話

「こよい、ほら、おいで」



思い返せば、あたしの母は心の弱い人だった。



父と、母と、三人で過ごす時間が大好きで「お母さん!見て!きれいなお花!」って差し出すそれを受け取って、「まあ、綺麗。飾利かざりに言ったら喜びそうね」と微笑む母が好きだった。



母の妹さんの名前は飾利と言って、凄く優しそうな男の人といつも連れ添っている、そんな印象の綺麗な人。


お花のことが大好きで、詳しいお話や花言葉をよく教えてくれる素敵な女性だった。




「小宵ちゃん!遊びにきてくれたの?」


母に似た優しい笑顔であたしをいつも迎え入れてくれる。



「ごめんね、伊吹は今お昼寝してるの」


「ううん!今日はおばさんに会いに来たの!」


身体の弱い飾利さんは、いつもベッドの上にいる印象だった。綺麗なストールを肩にかけて、「今、行くね」と立ち上がる。お庭にある綺麗なお花を見に行くためだった。



「小宵ちゃんは元気だなぁ」


飾利さんの旦那さんは春明さんと言って、あたしのことをいつも娘のように可愛がってくれる。


凄く裕福な家庭で、遊びに行くといっつも美味しいデザートを出してくれた。

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