第9話

二人の間ではババが行き交っている。



それを見つめる他の人たちは、床で寝ていたり、違うゲームしていたりと退屈そうだった。


だって、かれこれ30分は二人の勝負は続いている。





ちなみにこのゲームの場には、珍しく伊吹もいたりする。


伊吹は今週からよく溜まり場で見かけていた。



見かける度になにやら不思議に思ったから、毎回それとなく『今日はどうして?』と言った感じに聞くと、


『近衛が行くっていうからついでに来た』とか『なんとなく』とか。



理由はバラバラだったけれど、ここのところ毎日一度は顔を出していた。



『こんなに騒がしいとは思わなかった』とか『疲れる』とか、げんなりして、すぐに帰るときが多いけれど、今日はまだちゃんといる。



隣を見れば、ババ抜きをさらりと一位抜けした伊吹は、珍しく小さなあくびをしてうとうととしていた。



まあ、これだけ待たされれば眠くなるのも当然かもしれない。

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