第82話

「もうええか…?ほんま我慢できへんねん。」




そっと唇が重なる。



優の吐息混じりの声があまり色っぽくて、

体がゾクゾクと震える。



優が美嘉を求めてくれたのは、

初めてだった。


今ね、

すごくすごく嬉しいよ。




「うん、来て…」




「美嘉。俺は離れたりせんから…絶対傷つけるようなことはせんから…」



心の奥に潜んでいた小さな不安がどんどん取り除かれてゆく。



そして指を絡め合ったまま一つになった。



二人が始まった海で…









気付けば

朝日が昇っている。



海で朝日を見る機会なんてなかなかないから、

目に焼きつけておかなくちゃ。



朝日も夕日と同じくらい綺麗で、

ただ一つ違うのは一日の始まりだということ。




今日も頑張ったぞ!!と充実感に浸れる夕日より


今日も頑張るぞ!!と前向きになれる朝日のほうが美嘉には必要かも…。




二人は手を繋いでそれぞれのテントへと戻った。

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