第75話

優は一度立ち上がろうとした腰を再び砂浜へと降ろし、


「来るか?」


と足の間を指さした。



ちょこちょこと足の間に移動すると、

優は後ろから美嘉の体を包むように抱きしめた。



「星キレイやなぁ」



上を向く優のマネをして美嘉も上を向く。



この態勢のまま二人で海から星を見たのはあの時…

そう、優が美嘉に告白してくれた時以来。



優は覚えているかな?



でも今見える星は、

あの時よりずっとずっとキラキラ輝いているよ。




「あれがきっとなんかの星座やな」


星を指さす優。



美嘉は星を見ずに、

優の手を見つめていた。



この手はいつも美嘉を優しく包んでくれて、

守ってくれる。


まるで壊れものを扱うようにそっと…。


いつも何度も、

助けられて来たよ。



優の手を離さなければいけないのは、

いつ、

どんな瞬間ですか…?



美嘉は優の手を両手で握り、

そして手の平にキスをした。




大きくて温かくて…



大好きな優の手。



何度も何度もキスをした

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