第68話

アヤのほうへ向かう途中、ふと考えていた。



優は美嘉とアヤを仲直りさせるためにわざとあの場所に連れて行ったんじゃないの…??



美嘉からアヤがちょうど見える場所にわざと座った



優はそうやって自然にきっかけを作ってくれる。


見返りを求めるわけでもなく、

ただ人のためにいろんな機会を作ってくれる。


そーゆー人だから。



そこも大好きなんだ!!




うずくまったアヤに近寄り


おそるおそる声を掛けた




「アヤ…?」


アヤは一瞬体をビクッとさせ、

そしてすぐに叫んだ。




「来ないで!」



あまりの迫力に、

くじけてしまいそう…。



でもくじけない。




「アヤごめんね…」


アヤは何も答えてはくれない。


沈黙に耐えられず、

話し続けた。




「美嘉ね、アヤとケンちゃんを別れさせたかったわけじゃないよ…。ミドリさんがケンちゃんに気持ち伝えたら諦めるって言ってたから…アヤ本当ごめん。」



それでもアヤからの言葉はない。




「アヤ…」


美嘉がアヤの頭にそっと触れると、

アヤはその手を強く振り払い小さな声で言った。




「わかってたよ…ケンちゃん…さんが…の写真…」


波の音でとぎれとぎれにしか聞こえない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る