第22話

美嘉は一点を見つめたまま、

放心状態になっていた。




「…嘉~美嘉~?」


ケンちゃんに呼ばれる声で意識を取り戻す。




「…あ、ごめんごめん!そっかそっか~そんなことがあったんだぁ!!」


落ち込んでるのを知られたくなくて、

わざと明るく振る舞っている。




ケンちゃんはそれに気付いたか気付いてないかはわからないが、

再びペットボトルのジュースを飲みながら話し始めた。





「でも優、美嘉に出会ってからマジで楽しそうだよ。だから俺安心してるしこれからも優をよろしくな!」



そう言い残して、

去って行くケンちゃん。






初めて聞いた優の過去。



美嘉はアルバイト情報誌を握りしめ、

走って家に帰った。






送信:優


《今日うち来れる??》


無性に優に会いたくなりその衝動でメールを送ってしまった。





受信:優


《遊べるで♪次の授業終わったら行くわ!》



テレビもつけず、

何もしないでただベッドに座り優を待ち続ける。




別に怒ったりしてるわけじゃない。


ただなんとなく今すぐに優に会いたいんだ。





待っている時間はすごく長く感じた。

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