第92話

一瞬の隙をみて立ち上がり、

咲から写真を奪い校門へ向かって走った




後を追い掛けてくる二人


写真を握ったまま、

必死で逃げる美嘉。




校門の手前で追い付かれてしまい、

二人に周りを囲まれた。




「写真返せよ。マジばらまくぞ?フィルムだってあんだからな」



咲は覆いかぶさるようにして握っている写真を掴む。



美嘉は写真をグシャグシャに握りしめて離さなかった。





校門に向かって走ったのは理由がある。



職員室の窓からは、

校門がちょうど見える。


今ヒロは

職員室にいるはず。



もしかしたらこの状況に気付いてくれるかも…


そんなちっぽけな望みを託した。



しかし

校門の手前で追いつかれてしまったから


ギリギリ職員室から見えないかもしれない…。



ヒロ助けて!!



写真はもうボロボロになっていたが

それでも離さなかった。




「あんたがいなきゃヒロはあたしのもんだったんだよ!」



咲の言葉…

今まで黙っていた美嘉もさすがに耐えられず

言い返す。




「ヒロは物じゃないよ!!ヒロの事が好きなら卑怯な手ばっか使わないで正々堂々勝負しなよ!ヒロを好きな気持ちは負けないし!」

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