第91話

咲の隣にいた男が、

ポケットから何かを取り出しヒラヒラしている。



…写真だ。




ハッキリとは見えないけどわかる。



レイプされた時に撮られた写真。



やっぱり、

あの時フィルムは入っていた…。



取り返さなくちゃ。



男に駆け寄り写真を奪おうと試みたが、

男は写真を咲に手渡した



今度は咲のほうに駆け寄り必死に奪ばおうとしたが、

背の高い咲が写真を高くあげているために届くはずもない。



咲はそんな美嘉の姿を

見下しながら笑っている




写真をばらまかれるのが嫌なんじゃない。



その写真を見たら、

ヒロが傷つくから…。



ヒロの悲しい顔は

見たくないの。





どうにかして写真を奪おうと諦めなかった。




その時…



「てめぇいいかげんしつけ~んだよ!」



ドンッッ



美嘉の肩を強く押す咲。



その拍子に氷の上にしりもちをつき

体育館の壁に頭を打った



腰がズキーンと痛む。





「咲ちょっとやりすぎ」


男が言う。



「こんくらい余裕だから~」



咲は写真をヒラヒラしながら男のほうを向き、

油断したのか写真を持つたほうの手を降ろした。





今なら…


奪える。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る