第72話

「お帰り~

どうだった?」



キッチンから

お母さんの声。



まさか妊娠しているなんてこれっぽっちも思っていないだろう。



だって美嘉も思ってなかったもん。



何も返事をせずに部屋に入り

布団の中に潜り込んだ。



居間ではお父さんの声がかすかに聞こえる。



お父さんはお母さんに結果…

つまり妊娠したことを報告しているのだろう。




しばらくして話し声が聞こえなくなると同時に、部屋のドアが静かに開いた。




この夕飯の香り…

お母さんだ。



目を閉じて

寝たフリをする。




薄目を開けるとお母さんはベッドの横に座り、

美嘉の顔を見つめてただ涙を流していた…。






妊娠…。

どうしよう。

図書室でした時

確かに避妊してなかった


お腹にはヒロとの赤ちゃんがいる

まだ二人とも16歳なんだよ…。





病院へ行った日から食欲がなくなり

つわりはひどくなるばかり。



痛いくらいに冷たい風。雪がちらちら降って来た



クリスマスが近い。



今はクリスマスより…



でも一人で悩むことじゃないよね。


ヒロにも言うべきことだよね。



ヒロはなんて言うかな?喜んでくれるかな??

それとも…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る