第38話

犯人に会うの、

本当は少し怖い。



でも反省して欲しい。


二度と同じことを繰り返してはほしくないから。



ヒロと手を握り合い

部屋でじっと待つ。




「俺がいるから大丈夫」




ヒロは美嘉を安心させるため

何度も優しく声をかけてくれた。




その時…

玄関のドアが開く激しい音と共に、

エリさんとエリさんの友達らしき人の叫ぶような声。



「てめぇらタラタラしてんじゃねーよ。早く謝れよコラァ」



こっちへ向かう足音が

徐々に近付いて来る。




…犯人が来る。




ヒロの手を折れるくらい強く握った。




キイィ



部屋のドアが開き、

ぞろぞろと人が入って来る。




体は一瞬にして硬直…

鳥肌がたつ。




間違いない。

…確かにあの四人。



顔ぶれも、

車の香水とタバコが混ざったきついにおいも…。




あの日の記憶が甦る。



ヒロが手をぎゅっと握り返したことで、

記憶を取り戻した。



「こいつら?」



エリさんの質問に

何度も頷く。




その瞬間ヒロがものすごい剣幕で立ち上がり、


一人の男を睨み胸倉をつかんで叫んだ。





「てめぇが犯人か!てめぇ俺の女って知っててやったのか?」

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