第22話

ヒロは初めての美嘉を

優しく抱いてくれた。



気持ちが通じ合ったのかと錯覚してしまうくらいに…。




一つになる時、

痛くて怖くて泣きそうになっている美嘉の手を

ずっと握りしめていてくれたよね。



「怖くねぇから…嫌だったら言えよ?ちゃんと止めっから」



ヒロの声と優しい目が

安心をくれた。


“好きだよ”

そう言ってくれてる

気がしたんだ。


少しは近付けたかな…。





腕枕で寝ながら

思い出していた。



初めて触れた男の人の体はとても大きくて

ヒロの体温はとても温かく心地良かった…



ヒロと一つになれてねすごく嬉しかった。

後悔なんてしてない。



だけど…

だけど…



一つになった時違う女の人の名前を呼んだこと。



気のせいだよね?

聞き間違いだよね…??






♪プルルルルル♪



ヒロのPHSの着信音が

鳴った。



「出ていいか?」




申し訳なさそうに言うヒロに

腕枕から降りて頷いた。




『咲?』



……咲


さっきヒロが

間違えて呼んだ名前。




その名前は実在した。

高まる不安。


気のせいじゃ

なかったんだ…。




『俺?いや。おぉー咲は?そっか。じゃあまた』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る