心野さんのココロノさん

十色

プロローグ

『事実は小説よりも奇なり』とはよく言ったものだ。


 たぶん僕が体験した出来事を誰かに話しても、恐らく絶対に信じてはもらえないだろう。それだけ、僕は不思議で、奇妙奇天烈で、だけど奇跡のような体験をした。はっきり言って僕自身も未だに信じられない。


 あれはただ、僕が見た夢の中での出来事で、妄想で、幻想なんじゃないかと思えて仕方がなくて。実際、そうなのかもしれない。


 だけど一つだけ、断言できる。


 僕は16歳にして、やっと初めて女の子を好きになることができた。

 それだけは、揺るぎない事実なんだ。

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