第36話

華族の軍人子息を殴ってから早数日が経った。




その間、何度か藤ノ宮邸に足を運ぼうとしたが、結局できずに終わる。




人を殴ってしまったという罪悪感と、華族に手をあげたことに対する報復への恐怖。




とにかく零に謝罪しなければいけない、とは思うのだが、どうすれば良いのかわからない。




……謝罪したところで許して貰えるかどうかも怪しいのだが。




誰かに軽々しく相談できることでもなく、零を殴った日のことを思い出しては気を失いたくなるの繰り返し。




どんな報復が返ってくるのかと、そんなことを考えては恐怖に押し潰されそうな感覚に苛まれていた、ある日のこと。




再び、白木が桜子を迎えに来た。

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