捧げ華～濁りの君よ～【完】

緋紗羅

時は大正

鮮やかに彩られる濁りの世

そんな中で出逢った貴方は

身分も立場も性格も

何ひとつ重ならなかったけれども

それでも私は幸せだった

没落華族令嬢にして平民　日崎（ひざき）桜子（さくらこ）

帝国陸軍大尉にして華族　藤（ふじ）ノ宮（みや）零（れい）

重なることなんてありえない

この手が届くなど夢のまた夢

けれど、貴方は信じろと言ってくれた

だから、決して後悔はしない

「貴方が好きです。それが、今の私のすべて」

「傍にいろ。お前だけは失いたくない」

――大正浪漫、開幕

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