守護の蒼氷
シユウ
プロローグ 『守護』の遺志
─────────声が、聞こえる
────────────────え………き─て……
少し高めの、鈴の鳴るような綺麗な声だ。
察するに少女だろうか?
……思考が定まらない、視界もぼんやりとしている…
これは、なんだ…夢か?
──────い──は、もう────みたい……
聞こえてくる声に耳を傾ける。
──誰の声だ?
少女の声なのは分かるが、聞き覚えがあるようにも、ないようにも思える。
だけど……
この声を聞いていると、心がとても締め付けられる…ような……
──────んな──かな─そうなかお────いでよ……
耳鳴りが少しずつ治まり声が段々ハッキリと聞こえるようになってきた……が、依然視界はぼやけたままだ。
だが、体の感覚が若干ではあるが戻り始めた
───熱い、熱い熱い熱い熱い熱い!!!
鋭い痛みが全身から湧き上がる。
そのあまりの激痛に思わず身を捩り、叫ぼうとするも、身体を動かすどころか声を上げることすら出来なかった。
それどころか、身体中のそこかしこから血液らしきドロリとしたものが流れ落ち、同時に体内の「熱」も抜けていく。
段々と身体に力が入らなくなっていく
……俺は、このまま力尽きるのか…?
しかし、俺の意思に反して身体がぴくりと動き、残り少ない生命の灯火を激しく燃やすように言葉を吐く。
『─────ぐっ…ゲホッ!…ま─だ、俺の─命─を──すれば……』
そう言いながら『俺』の身体は手を伸ばす。
…すぐそばに居るであろう少女に
……今にもこぼれ落ちてしまいそうな儚い命に
だが、その震える手は届くことはなく、無情にも空を切る。
それでも、と諦めずにボロボロであろう身体に鞭打ち、さらに手を伸ばす。
そして───────その手が、触れた
そのことに身体の主導権を握る『俺』が少しの安堵を感じると共に、伸ばした手を柔らかな───しかし、何らかの生暖かい液体が付着した手らしきものが包み込む。
──────だ、め…───には、まだ、───が残ってる、から…
────────み─なを、まもるん、でしょ……?
─────だから…あとは、おねがい…ね?
言葉を紡いでいる間にも段々と弱々しくなっていた少女の手に急に力が籠る。
その力強くも優しい手の感触にその少女の並々ならぬ感情を感じ取り、俺は息を呑む。
この少女は瀕死になっている『俺』を己の全てを持ってしても救おうとしている。
自身も傷ついているにも関わらず。
そこにはどれほどの強い「想い」や「願い」が篭っているのか。
それを間近で身に受けた俺は驚愕と同時に不安も感じていた。
それは『俺』も同じなようで、
『…お、い?なにを……何を言ってる?』
そう、少女に向かい問いかける。
だが、少女は何も答えずに包み込んでいた『俺』の手を離す。
そして...ズリ...ズリ、と言う音が聞こえ始める。
おそらく彼女が『俺』に近づこうとしているのだろう。
『・・・・だ、めだっ───・・・動いたら・・・・っぐ、血が・・・』
いよいよ本格的に力が入らなくなってきたのが分かる...
ここまで何とか粘ってきていたが、そう長くは持たないだろう。
今出せる気力を振り絞りながら、『俺』は少女に忠告する。
それすらも聞く耳を持たず這いずる少女は遂に力無く横たわる『俺』の身体に辿り着いた。
そして少女はか細くも美しい声で俺に向かって語り続ける。
それが俺との最後の会話になることを知って....
─────のぶんまで……っ、いきて
そう語りながら彼女は『俺』の身体によじ登る。
身体はもう、動かない。
痛覚も、無くなった。
俺の顔に彼女の吐息がかかる。
……血の、匂いがする。
─────────の、たいせつな、ものを…………
───護って
………や、くそく…だからね
ふと、何か温かいものが頬を伝う。
目が温かく感じる…
これは……俺、泣いている…のか?
──だから、おきて……
意識が、遠のいていく…
声が遠ざかる……
────────しの──いす─な…
───「 」
………そこで俺の意識は途切れた。
─────────────────────────────────────────
どうもこんにちは!
シユウ、と申します。
まずはこの作品を読んでくださった皆様に感謝を‼︎
自分は最近執筆活動を始めたマジの初心者なんですけど、
受験勉強がダルすぎたので初投稿しました。
なのでまだまだ拙い文ではありますが、頑張ってこの物語を作り上げていきます。
....え?受験はどうするのかって?....君のような感の良いカキはフライだよ...
........まあ、受験も頑張らなければいけないので更新頻度は少し遅くはなってしまいますが、出来る限り書き続けていきます。
少しばかり長くなってしまいましたが、これからもこの作品をよろしくお願いします!
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