17:ロンゲストヤード [暴力描写あり]

「ヘッド……、確認ですが作戦は分かってますかい?」


「あったりめえよ! 出てきたヤツを全部血祭りにあげりゃあいいんだよな!」


「ちげえますよ! 今回の作戦は陽動! 陽動です! 昨日も説明したじゃねえですかい!」


「よう……どう……って何だよサブ?」


「そっからですかい! おびき寄せる! 引き付けてヤツらのシマから引き離すんですぜ!」


「でもよお、そんな作戦必要か? 全部やっちまえばいいじゃねえかヒャッハー!」


「そりゃあできるならそうしたいですがね……、北の奴らの戦力はアタシらの七倍あるんですよ」


「七倍? オレらの今回のメンツが六人だから……二十人くらいなら何とかなるじゃねえか」


「四十二人ですぜ! 二倍も差があるじゃねえですかい!」


「そ……そうなのか? この前九九は覚えたんだがなあ」


「掠ってすらいませんぜ! とにかくいっぱい! アタシらよりいっぱい敵がいるんですぜ!」


「ヒャッハー! 腕が鳴るぜ!」


「鳴らさんでくださいですぜ! とにかくヘッドがいくら強くても骨が折れる数なんですぜ」


「何とかなると思うがなあ」


「それに今回はヤツらをしばくのが目的じゃありませんぜ。ヤツらの物資……食い物を奪うのが目的なんですぜ」


「そういやあ最近あんま食ってないから腹減ったよなあ。おめえも腹ペコだろサブ」


「無い袖は振れないですからね。まずは腹いっぱい食わないとヘッドも存分に力を振るえねえでしょう?」


「ついでにいいスケがいたら嬉しいけどなあ」


「まあ何人かはいるでしょうが……、まずは食い物を優先して奪ってくださいよ。そのためにも陽動が必要なんですぜ」


「つまり……どうするんだ?」


「まずはヘッドが入口辺りでドラム缶でも壊したりして暴れてくださいや。それでヤツらの注目を集めるんです」


「ヒャッハー! 派手に暴れてやらあ!」


「しばらく暴れてたら二十人くらいは集まってくるでしょうから……」


「全員やっちまえばいいんだよな! ヒャッハー!」


「違いますぜ! さっきまでの話を聞いてましたかい! おびきよせて逃げるんです!」


「逃げるってどれくらい逃げるんだよ」


「二時間か三時間は逃げ回っててほしいところですぜ。それくらい逃げたら北のヤツらも疲れ果てるでしょうから、その間にアタシらがヤツらの物資を奪えば作戦終了ですぜ」


「つまり出てきたヤツ全部血祭りにあげちまってもいいってことだよな? ヒャッハー!」


「だから! それはいくらヘッドでもきついんですぜ! この前襲ってきたヤツらの装備を覚えてますかい? 最近アタシらを警戒してかなりいい物を用意してるみたいでしたぜ」


「大したことねえよ! 見ろよこのオレの鍛え上げた筋肉! 拳銃くらいじゃ貫けねえぜ、ヒャッハー!」


「ガトリングガンを持ってるって情報があるんですぜ……」


「ガトー・リング? 何だそりゃ?」


「とにかくいっぱい弾が出て破壊力もすげえ銃ですぜ! ヘッドでも当たればイチコロですぜ!」


「だったら当たらなかったらいいんじゃねえか! おりゃあこう見えて足だって速いんだぜえ! ヒャッハー!」


「ですから……」


「それによおサブ」


「何ですかい?」


「これ以上時間はかけられねえよ。アジトでガキどもも腹を減らしてるだろうが」


「それは……そうなんですがね……」


「バカで有名なオレだけどよ、ガキに腹減らさせちゃいけねえってことだけは分かってるぜ」


「ヘッド……!」


「大体オレらはテッペン目指してるんだぜサブよ。七倍? くらいでグズグズしてちゃテッペンは取れねえってもんよ。長い戦いの単なる一歩じゃねえか、こんなしばき合いなんてよ」


「分かりやした! お付き合いしやしょう! この鉄の女と呼ばれるサブ! 久しぶりに武闘派に戻ってやりますぜ!」


「その意気だぜサブ! よーし野郎ども! 血祭りの始まりだあ! ヒャッハー!」


「ヒャッハー!」


「ヒャッハー!」







 時はまさに世紀末!

 日本は何やかんやあって北日本と南日本に分裂し、暴力が支配する世界になっていた!

 そんな中、腹を減らしたガキどものために立ち上がった二人がいた!

 その名も人呼んでヘッドとサブ!

 ヤツらは地元で地道に勢力を広げながら、ガキと食い物といい女のために日本統一を目指すのだった!

 これはそんなバカな二人の長い戦いの一歩目の物語である!




 TO BE CONTENYU!!!!!!!!!!!!!!

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