5
彼女が話を終えると、空はいつの間にか曇っていた。
さっきまでの青空が嘘のように重く、暗く垂れこめていた。
好奇心に駆られてこの重い話を聞いてしまった自分に、僕は恥じ入った。話の深刻さに見合う心構えをしていなかった。
「気にしないで、湯島。いつかは話さなければならないことだった。」
僕の表情を察したのか、ミレイアは優しく言ってくれた。
「あなたは、私たちの救世主として召喚されたのだから。」
その言葉が、僕の心に再び重くのしかかる。ミレイアの告白を完全に飲み込んで、その話から頭を切り替えられたわけではなかったけど、それでも彼女の言った「救世主」という言葉に対して深く考えざるを得なかった。
なぜ僕がこの異世界にいるのか、その理由がまだ曖昧で、心がどこかに漂っているようだった。僕は偶然ここに来たわけではなく、必然的に召喚されたという——この世界で不死鳥の力を扱う強力な召喚士たちによって。彼らは僕を「救世主」と呼んでいたけど、その称号にふさわしいかどうかは、まだ自信が持てなかった。
僕は知っていた。ルクスエリオス王国が他の世界に助けを求めたのは、今回が初めてではない。約500年前、竜が王国を脅かしていたとき、フェニックスの力を持つ者たちは、僕と同じように別の救世主を召喚した。その戦士はこの地を守り、竜と戦い、王国を救った。そして今、何世紀も経た後、僕も同じ運命を背負わされているようだった。
僕の肩に、その歴史の重みがのしかかっていた。それはまるで、ミレイアが軽々と振るうあの剣の重さを、僕も共に感じているかのようだった。
ミレイアが少し険しい表情で僕を見つめ、口を開きかけた。その顔から、彼女が話したくないことを話す覚悟を決めたのだと悟った。
「湯島、この世界を古くから苦しめている戦争について、知っている?」
僕はうなずき、もてる知識を呼び起こした。
「不死鳥と竜の戦いだろ?」
ミレイアは遠い目をして、まるで古い戦場を思い出すかのように静かにうなずいた。
「そう、ルクスエリオス王国は二つの大きな神の一つ、不死鳥の力を率いている。無限の炎が燃え盛り、純真さと再生を象徴する存在よ。女王を含めた召喚士たちは、その炎から力を引き出し、王国を守っているの。」
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