第2章-5話 生肉を欲するか?
私は草原を前へ前へと進み出でた。
太陽はさんさんとして晴れ渡っていた。
だが私の胃袋は悲しみに溢れて悲嘆に暮れていた。
ただ、食欲が私の行動として還元され、暴力として発言するように急き立てられる。
いつからだろう。
私の五本の指が血に飢え始めたのは。
腹をい満たす欲求はそれほどまでに罪を犯すことに誘う。
そもそも罪なのだろうか。食べることとは。
人間はあらゆる生物を捕食して生きて生物界の頂点まで登り詰めた。
よし、では私は赴こうではないか。従来の人間の姿へと。
草原を歩いていると一つの気配を感じた。
ガサガサ、ゴソゴソ
私は物音一つさせず、一歩ずつその気配の先の方向へと歩み出でた。
見つけた。
何か動きの早い動物だ。
「今だ!木剣を…。これはウサギ?」
ウサギはつぶらな瞳でこちらを見つめている。
ウサギは私の姿をじっくり見ると、一目散に逃げ出した。
気がつけば、私の木剣の元に何かバーが表示されいる。
それはグングンと貯まっていき100%となるとティコンとSEが鳴った。
なるほど、これはATBバーに違いない。
つまりは行動力を示す。そういうことだろう。
私はこのATBバーが貯まらない限り行動ができない。
試しに初戦闘なのでこの木剣を振ってみる。
ビュオン
実践となると稽古のようにはいかないな。
もう、あの先程現れたウサギはどこにも姿が見当たらなかった。
「まぁ、いいか。可愛かったし許してやろう。」
ウサギの肉は旨いらしい。
ただ、このウサギは素早さが速いので、ATBバーが貯まる前に逃げられてしまう。
「これは出直しのようだな」
私は己の不甲斐なさを噛みしめながら首を左右に振った。
「よし、木を取り直して行こう。」
私は歩いた。空腹の中。
足や腕に力が余り入らない。
太陽はあんなに明るいのに何故私はこうも満たされないのだろう。
情緒溢れる雄大な大草原を孤立してぽつんっと立っている。
そうだ、ランチにあの豚を食べよう。
私は頭の中に軽快なパーカッションの音を鳴らしながらトコトコと辺りを散歩した。
ついに見つけたぞ。あの豚め。
豚とエンカウントしたATBバーが貯まるのを待つ。
そして殴る!殴る!殴る!
ブヒィ
豚は悲鳴をあげて倒れて消滅するとアイテム『豚の生肉』と経験値ポイントをドロップした。
ほう生き物を倒すと経験値が入るのか。
この緑色のボールのようなアイテムに触れると体に吸い込まれるように吸収をして、経験値バーが貯まった。
この経験値を貯めていくと伝説の勇者に一歩近づくのかもしれない。
それはさておき。今日のランチだ。
『豚の生肉』…豚から取れた、新鮮な生肉。脂がのっていて、ランチにはぴったり。
モグモグ
満腹値ゲージが少し貯まった。やはりこれだけでは空腹が満たされない。
よし、もう一件行こう。
また草原をトコトコと歩き回ることにした。
「あ!いた!」
木陰に佇むように牛がのんきに「モー」と鳴いていた。
ATBバーが貯まり次第、殴らなければ。
今晩の晩飯だ。それも牛肉だ。打って変わって今日は豪勢な一日になるぞ!
木剣で殴る!殴る!殴る!
ギュヒー
という悲鳴をあげた後にアイテム『牛の生肉』と経験値ポイントをドロップした。
しかし、牛肉か。ボリューミーだがこれは調理したい。そうだそうだ調理できるよう環境と器具が欲しいな。
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