夢見る小さな夢
トロッコ
りゅうのたまご
少年はふいに目が覚めた。部屋には深い夜が降りている。舌のざらつきに気が付いて、口を幾らかもごもご動かしたが、観念して水を飲みに台所へ向かった。ぼさぼさの髪が瞼に半分降りている……
闇の中でグラスに水を汲むと、大袈裟に煽って一気にゴクリと飲み干した。暗いキッチンの中では何か重たいものが流れている。夜の匂いだ。夜の音だ。と少年はよく考える。夜が唸っている。耳元で唸っている。夜の息遣いが聞こえる。羽を翻す。大きな牙を剝き出しにする。何かを喰らい、何かを産み落とそうとしている。大きな大きな夜が。
夜の中で何かが閃いた。
りゅうのたまごは、少年の傍らで眠っていた。
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