第20話 ジェシー

 森に声をかけてもらったことで、太陽は更に10日間を子供達と島で過ごすバイトに行った。

内容は前回と全く同じだったこともあり、手際のいい太陽に森は感心していた。


島で過ごすのも残りわずかとなった夜、太陽の実家から電話があった。


「太陽、そっちはどう?」

「元気でやってるよ」

「あのね……」

「何、母さん?」

「暑い日が続いたせいか、ジェシーが体調崩して、ご飯食べなくなっちゃって……」

「それで?」

「お医者さんに連れて行ったら、もう歳だから、この夏を超えるのは難しいかもって……」

「バイトから戻ったら、すぐそっちに帰る」

「うん。きっとそう言うだろうと思った」

「今は? どうしてるの?」

「今は、お父さんの足に顎を乗っけて眠ってる」

「明後日には帰れるから」

「ジェシー、喜ぶよ」




大型犬の寿命は短い。

ゴールデンレトリバーのジェシーは今13歳で、冬に14歳を迎える。

太陽が小さな頃から一緒だったジェシーは、弟よりも長く一緒にいる家族だった。


GWに帰った時は、3月に大学に行くため家を離れた時より、散歩の時動作がゆっくりになったと感じはしたが、元気だった。

もう昔のようにボール投げをすることはできなかったけれど、家にいる間は毎日一緒に寝た。


太陽の頭の中は、ジェシーでいっぱいになった。

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