激動中世の時代を駆ける
とおあさ
第1話 深夜
戦乱の世から一と半世紀、世界は空前の平和を迎えた。
誰もが戦争の利点を忘れ、興味を失ったおかげにより、大きな争いは起きにくくなった。
この国は小国に囲まれ、衣食住に困らない。
そして今日は105周年目の建国記念日である。ここらあたりの国はほとんどが建国記念日となっている。なぜなら、終戦と独立が同時であるからだといわれている。
皆は浮かれていて、日夜酒が周っている。
「兄様、今年も盛り上がっているみたいでとてもうれしいです。」
弟はミネルバといい、気は弱いがとてもやさしい奴だ。
「どうも私は好かぬがな」
「どうしてですか?」
「話が通じるやつが少なくなるからな。」
「今日ぐらいは気を休めてください兄様。」
そういいつつ私も祭りの余韻に浸った。
大きな音や、人の声に疲れが出てきたので、自分の気に入っている場所にいこう。
「どちらへ?」
ゆく先々で聞かれるのが少し腹立たしい。
「少し外へ」
軽く流し、城壁を抜ける。
そこには、山と星、街が見える。
山で癒しを知れる。
星で季節と時間を知る。
街で活気が分かる。
そこにはすべてが詰まっている場所だ。昨年死んだ父のお気に入りの場所でもある。
ただ今日は少し違う。動物がせわしなく動いてる。祭りの光に驚いているのだろう。
ここも騒がしいのは嫌だなと思っていた矢先だ。
さっきまでなかった、山に輪郭ができた。山が明るい。
「祭りにこんな催しはないぞ」
酔いもあり、何も考えられなかった。
その瞬間だ、星のような数の火矢がとんだ。
騎馬も門を抵抗なく入ってゆく。
夜襲だ。
その後とても多い数の歩兵が入っていき、静寂が戻った。
軍は夜のうちに消えた。
戻るとそこにいるのは女、子供、老人がほとんどであった。
虐殺にあったらしい。
生き残りはほかの国を目指し、自分の身分なんてものも消えていた。
何も考えられない
大きな広場でただうずくまることしかできなかった。
「兄ちゃん、なにやってんだ」
そこには薄汚く、大きなバックを持った中年ほどの男がいた。
「ぼくは、ただ、ショックで、、、
あなたは、何をしているのですか」
「俺は旅商人だよ、まあ今は火事場泥棒でもあるけどなあ
たまたまここに居合わせたもんだからもらえるもんはもらっておこうとな
ただ、、、そうだよなおめえこの国のもんだよな、悪いことしたな
ただ俺にも生活があるからな。」
「そうですか、、、」
「行き場はあるのか?」
「いえ、、」
「ここにいるつもりか?」
「一応は」
「ここにいるんじゃ、何もないだろ?そろそろ移動しようと思っているんだが、隣の 国へ一緒に行かないか?レザントと言ってとても住みよい場所だよ
故郷がなくなったんだ、確かにわかるよ動きたくないのは、だけど、立ち直らなきゃいけない時もあるだろ?今のうち動いたほうが公開も少ないさ。」
道中はいろいろ教えてもらった。
あの軍は北の大国ザントルという国のものらしい
目的は定かではないが、国をつぶしに来たわけじゃないらしい。そのまま南の海岸へ下って行った。
少しの軍で殲滅を行わせ、他は行軍を続けさせた。
ただ、少しの軍とは言え、全体はザントル軍の三分の一はあるらしい。
とはいえ、小国とは違い簡単に国をつぶせるほどだが。
正直、国の再建はほとんどない。
とりあえず今後を考えられるよう落ち着こう。
人生初の野営となった。
スープが数年ぶりにとてもおいしかった。
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