第24話

「あ、稲賀さん」


塾のロビーで、金井くんに話しかけられた。


「なに」


神田かんだ先生辞めたって…」


それは、私が意地悪されて、金井くんと前付き合ってた女に弄ばれたアルバイトの先生だ。春休み中に見かけないとは思ってたけど、やっぱメンタルやられたんだ。


「それで、朝留美あさるみ先生も辞めるかもって」


「…なんで?友達だから?」


「いや…わからな…あ、先生!」


ちょうど朝留美先生が歩いてやってきた。


「先生、辞めるんですか?」


「え?そんな話誰がした?」


「ちょっと聞いたから…」


「え…?誰に?あー。デマ流したんですか?」


先生は受け付けのおばちゃんに聞いてる。


「いやぁ、先生って神田先生と仲良しだったからねぇ」


「まぁそうですけど。ようとは隣の部屋に住んでるので、別に毎日会ってますから辞める理由にならないですよ」


「そう。なら頑張って」


このおばちゃん、なに考えてんだか。子供じゃないんだから、友達が辞めたくらいで辞めないでしょうに。先生は相当仲良しだったからそう思ったわけか。…はぁ。

私と真矢ちゃんは、そう思われることもないってこと?


すると、携帯が鳴る。返事が来ていた。

真矢ちゃんだ。


クラス離れたけど、お互い勉強頑張ろう!ライバルは自分だと思って!


勉強のことばっか。真矢ちゃんは勉強できすぎる…悔しい。そもそも、私が誘ったから私立中学に入った真矢ちゃん。私よりも勉強好きになりすぎだよ…。

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