異世界ゲームクリエイター、異世界で神になる
やまもどき
第1話
中学生の頃からゲームの魅力に取り憑かれていた。幼少期、俺は現実の世界でうまく立ち回ることができず、いつもクラスメイトたちの輪の外にいた。学校では無口で、目立たない存在だった。だが、ゲームの中では違った。ゲームの世界では自分がヒーローになり、問題を解決し、人々に認められた。
「現実よりも、ゲームの世界の方が自分らしくいられる。」
それが俺の口癖となった。そして彼は自然とゲーム作りに興味を持つようになり、高校に入るとプログラミングを学び始めた。夢は自分の理想とする世界を、自らの手で創り出すことだった。
大学に進学した俺は、ゲーム開発の専門知識を深め、少数の仲間と共にいくつかの小さなプロジェクトを立ち上げた。だが、彼の厳しいこだわりや完璧主義が原因で、仲間との衝突が絶えず、次第にチームはバラバラになっていった。結果として、一人で開発することを選び、他人に頼らずにやり遂げようと決意するようになった。
「俺一人で十分だ。他の人は理解してくれない。」
彼はそう自分に言い聞かせたが、心のどこかでは孤独を感じていた。友人との関係は薄れ、家族とも疎遠になりがちだった。彼の両親は、玲がひたすらゲーム開発に没頭する様子を心配していたが、「自分の道を行く」と決めていた。
家族との電話はいつも短く終わり、両親の「ちゃんとご飯を食べているのか?」という問いかけにも、「大丈夫」としか答えなかった。実際、まともな食事を摂ることも少なく、簡単なインスタント食品やコンビニ弁当で済ませていた。部屋の中には、山積みの空のカップ麺容器やペットボトルが散乱していたが、掃除をする気力さえ失っていた。
自分が創り上げた世界こそが、自分の生きる価値だと思っていた。しかし、現実はそう甘くはなかった。彼の作ったゲームはいくつかリリースされたが、成功とは程遠かった。ダウンロード数は伸びず、プレイヤーからの評価も厳しかった。掲示板やレビューサイトでの批判的なコメントが彼を追い詰めた。
「なぜ、誰もこの世界の素晴らしさを理解してくれないんだ?」
玲はそのたびにモニターの前で頭を抱えた。彼にとって、ゲームの中で作り上げた世界は完璧だったが、それを評価してくれる人は少なかった。何度も改善を試み、ゲームの細部に至るまでこだわったが、それでも結果はついてこなかった。
そんな中でも唯一の救いは、自分の世界に没頭する時間だった。仕事の合間や深夜、彼は作り上げたキャラクターたちと対話し、彼らがどう動くべきかを考え続けた。ゲームのキャラクターたちは、彼の中で生きており、彼と共に成長していた。
「次はこのキャラクターをもっと深く掘り下げて、彼のストーリーに感情を持たせよう。」
ゲーム内のキャラクターたちに感情移入し、自分の孤独な心を癒すかのように物語を紡ぎ続けた。彼にとって、彼らはただのコードでできた存在ではなく、友人のようなものだった。しかし、現実世界では誰もそれを理解してくれない。
日々のゲーム開発に追われる中、次第に体力と精神の限界を迎えていた。深夜まで続く作業、食事もままならず、体調は悪化していた。ある日、彼はついに倒れ込んでしまった。パソコンの前で眠るように意識を失い、目が覚めると目の前に広がっていたのは……彼が創り上げたはずの「異世界」だった。
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