KING

起き上がる

第1話あの、楠木さん。

転職してある日、小さい女の子に話しかけられた。


「楠木、さん?」


「はい。」


痩せて褐色肌。


俺のタイプ。


でも、ネジが外れてそう。


お弁当会社に入社した。


「楠木さん、20代ですよね?」


「いや、41歳ですけど。」


「えー若く見えますね。」


ちょっと嬉しい。


でも、微妙。


「楠木さん、エアドロップって知ってます?」


「知らないです。」


「そうなんですか。」


笑顔、不思議ちゃん。


一人暮らしの部屋に帰ってエアドロップを調べた。でも、アンドロイドはエアドロップ出来ない事を知った。


メモ帳に名前、電話番号、アドレスを書いていた。


次の日、不思議ちゃんにメモ用紙を渡した。


「か、帰ったら登録しておきます。」


何となく連絡は来ない気がした。


先々週、コロナになった。


偶然、来ていた母ちゃんにもコロナを移した。


39.8度、熱が出た。


2日間、眠れなかった。


病院に行って三万もする薬を飲んで回復した。


「はい。プリントアウトした写真。」


やっぱり。


周りはイケメンとか言ってくれるけど、俺はモテない。


「ありがとうございます。」


初日に撮った集合写真。


俺は、やっぱりモテない。

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