ご機嫌起爆剤=犬

犬ついて考えている時、わたしはだいたいご機嫌だ。


散歩中、知らない人の連れている犬がわたしのくるぶしに鼻をズイズイ寄せてきた時などわたしは最高にご機嫌になる。


わたしは元より犬が大好きだ。



なぜなら全ての犬は清らかでピュアで優しい目をしている。愛される為に生まれてきたようなルックスも魅力的だ。なんなんだろう、犬のあの撫でやすいまるっこい頭は。可愛すぎる…。


犬の存在はわたしにとって癒しであり救いなので、彼ら犬に対してだいたい全肯定的で優しく頼りがいのある人間としてありたい。

こちらのドッグに対するラブマインドが伝わるのか、わたしは犬に懐かれやすい。


知り合いの飼ってる柴犬と仲良くなりすぎて、その知り合いの家族に柴犬とのサシの散歩を任せられたりした。知り合いの家族が旅行で留守中はごはんやお水やおやつを定期的に渡しに通ったりした。柴犬はいつも尻尾をふって飛びかかってきたので異種族格闘技みたいになっていた。楽しかった。

犬好きのわたしからするととんだハッピー体質なのだ。


わたしの住んでいる地域は愛犬家が多い。外に出れば必ず飼い主と犬のペアを目撃する。多いときは10ペアとすれ違うとかもザラである。運が良ければ愛犬家のグループが集まって井戸端会議を開催しているので、一気に犬を浴びれる。環境までハッピーに整っているのだ。

出来ることなら犬達を舐め回すように隅々まで眺め倒したいのだが、そんなことをすれば飼い主に確実に警戒されてしまう。ご近所の愛犬家達の間で「犬を食おうとしてくるヤバい女がいる」とか「ヤバい目つきで犬をガン見してくるのであれは犬に関わる歪んだ性癖を持つ女かもしれない」とか噂されるかもしれない。そんなことは決してないので勘弁してほしいところである。



いろいろ策を練ったり実験して、編み出した究極の犬浴び方法がある。

飼い主に悟られず、直に犬を眺める違和感の生まれない時間は最大で5秒。この隙に犬を目に焼き付けて心のシャッターを連打する!

それから、なに食わぬ顔で犬とすれ違いそっと振り返り、犬がおしりをふりふり振りながら歩く後ろ姿を食い入るように見ること。そうすれば犬は視線に気付き振り返ってくる。アイコンタクトまで可能なのだ。わたしはサンキュー!と心の中で感謝を述べて深々とお辞儀をする。

…これでいかにわたしが、わたしの人生に犬という彩りをさりげなく取り入れ隙あらば癒されようと努力しているか伝わったと思う。

そんなわたしのくるぶしに鼻をズイズイ寄せ匂いをかぎにくる犬とエンカウントするという神イベントが発生したならどうなるか。

そう…わたしは嬉しさのあまり脳内でフラメンコを踊り狂う。アドレナリンとかセロトニンとかなんか浴びたり食べたりしないと出ないような身体に良い物質などが一斉に発生するような、そんな感じがする。



そんなわたしはやはり犬へのパッションを我慢できなかった。そしてミニチュアダックスフンドの女の子を迎えて一緒に暮らしていた。犬というか家族と呼んだ方がしっくりくる。彼女は人でいうところの根明の陽キャのコミュ強だ。常に家族の中心にいたし私たちの笑顔を引き出していた。年賀状も彼女がその年の干支のモチーフの被り物をしている写真を入れたりしていた。この世界で一番似バンダナが似合っていたので、よくつけていた。

現在彼女は天国に住民票を移している。向こうでも相変わらず元気でいるだろう。

彼女がくれた最高にイカした時間を思い出す度わたしはご機嫌になる。


犬について考えている時、わたしはだいたいご機嫌だ。

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