本当に 怖いもの とは。

タイトルからは不穏さは感じられないが
不思議なループに落とし込まれる。そして
矢張りこれは怪談の類だったのだ、と
納得させられる。

事の発端は、巷で囁かれる噂。真夜中に
工事現場で女の啜り泣く声が聞こえて来る
それに何となく心当たりがある主人公。
 独り歩きして行こうとする『怪談』を、
只、遠巻きに見ている彼は。

 その正体とは。
         いや、それ以上に。

主人公の『彼女』が怖い。いやいや、全く
普通の、更に言うと寧ろ可愛い彼女であり
何ら文字にしても怪奇要素は微塵もない。
甘いふわふわの菓子の様な無垢な彼女。

 なのに、恐ろしい状況は加速して

それでも全てが どうでもいい とすら
思わせて来る、この彼女。
 本当に怖いのは怪異なのか。それとも。