私は何も考えずに旅行する

夢幻の旅人

私は何も考えずに旅行している

20XX年のある日のことだった。


宇宙から突然UFOがおりてきた。

ピロピロピロ・・・。


機械音が市内に響き渡る。

ここ上田市には目立った建物がないだけに、UFOが市庁舎の駐車場に降り立ったのは、私の家からも見ることができた。


私は、野次馬の一人として市庁舎の駐車場に行った。

なにやら、銀色の塊のようなものが雲?のようなものに覆われていた。


私が駐車場についてすぐのことだった。


ウィィィィーン


突然、銀色の塊の一部が動き始めた。

地上につながる道ができ、中から生命体が現れた。


「こんにちは。Y星から来た者です。この中に、この星のリーダーはいらっしゃいますか。」


なぜか、生命体の言葉が聞き取れた。


野次馬の中から声が上がった。


「この星にリーダーなんかいねえよ・・・。」


声の上がった方向を見ると、酔っぱらって地面に座っている人がいた。


生命体(これ以降はエイリアンとする)は何を言われているのかわからない様子だったが、ただ静かに言った。


「私は…こうしようとしてここに来たのだ。」


そうして、空からの光に包まれ、いつの間にかUFOは消えてしまっていた。


その夜、市庁舎の前にはたくさんのマスコミがやってきていた。

侵攻しようとしてきたのではないかと大騒ぎになっていた。


テレビにはこのことを大きく報道するNEWS番組や、人類と宇宙人の関係についての特集番組が放映されていた。


家はそこまで市庁舎から近くはなかったので、マスコミが家にやってきて、インタビューしてくるなどの人生の一大イベントのようなものはなかったが、上田市に観光客が訪れるようになるなど、身の回りには大きな変化が訪れた。


私は上田市で働いているわけではなく、電車で一時間ほどしたところにある神宮地駅の近くの小さな法律事務所の所長を務めていた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


日本の各地に上田市で降りてきたようなUFOが数多くみられるようになったころ。


政府はいよいよ宇宙人に対して対策を練らなくてはいけなくなってしまった。


世界の国々と連携をとり、いたって真剣に宇宙人に対しての対策を考えていると、

国会議事堂の駐車場にUFOが降り立った。


日本はやはり宇宙人と戦いたくないため自衛隊を出動させはしなかった。


すると、テレビで見たので定かではないがおそらくエイリアンが今度はこう言っていた。


「私は別に征服しに来たわけではない。」


その言葉が日本に、そして世界に広がったとき、地球は激震した。

侵攻するつもりではなかったのかと。


この出来事から数日後、日本に来る海外の観光客数は大幅に増加していき、この月は過去最大の観光客数を得ることになった。


そして再びこの月の最後に、上田市にUFOが降り立った。

前と同じ駐車場だった。

最初にUFOが来たあの日から、私の法律事務所も栄え、上田市も世界初の宇宙人が降り立った地として観光地となっていた。


私は、再びあのエイリアンに会いたかった。


そして、なぜ地球に降り立ったのかを知りたかった。


そして、前と同じように地球にエイリアンが降り立った。


私は聞いた。

「なぜ、この地球という星に降り立ったのですか?」


「私は、ちょうど2か月ほど前にここに来たであろうPの推薦を受けて、ここに降り立つことに決めたのです。」


私は理解した。

そして、そのエイリアンは続けた。


「そのPの推薦が今では宇宙中に広まっています。ただ推薦を受けて旅行しに来たのです。」


地球は宇宙の中での観光地になっていたのだ。


ただ最後に一つ聞きたいことがあった。


「どうして、この国日本ばかりに宇宙人が集まるのですか?。」


エイリアンは答えた。

「私たちは何も考えずに旅行している。特に意味はない。」










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