第2話
新天地で過ごしている私に長兄ブルーベリーがチョコミント王家と殿下、そしてシャイン嬢の事を教えて下さいました。
まさか王太子ともあろう者がチーズスフレ家と婚姻を結ぶ事を拒否してシャインという男爵令嬢を選ぶだけではなく、我が家から今回の婚約破棄と浮気に対する慰謝料、今までチーズスフレ家が負担していた王家の為の生活費等を一括で返還要求されるなど夢にも思っていなかった陛下は殿下を王族から籍を抜いた上で、婚約破棄と浮気に対する慰謝料をチーズスフレ家に支払うようにと、平民チャーリーに対して王命を下しました。
そして・・・何があっても絶対に離縁が出来ない事を条件に罪人シャインとの婚姻を結ぶ事を王命で認めた後、平民にしたのだそうです。
『ラズベリー様が学園の屋上から突き落とした』
『ラズベリー様が教科書やノートを破った』
と主張して私を陥れようとしていた男爵令嬢にして罪人、そして陛下の名の下に晴れて元殿下と結ばれたシャインですが、平民チャーリーと結ばれる前は王命による婚約を台無しにした罪人という事で投獄され、拷問を受ける日々を送っていたのだとか。
長く苦しい、そして手加減のない拷問に耐え切れなくなったシャイン嬢は、それ等は全て自分の自作自演であったと自白。
国王夫妻と元王太子の前で自白した事で牢屋から出る事が出来たシャイン嬢は晴れてチャーリーと結ばれたのですが、顔を合わせる度に言い争いになるらしく喧嘩が絶えない日々を送っているのだそうです──・・・。
(えっ?お二人は真実の愛で結ばれているのですよね?何故、喧嘩をするのでしょうか?)
疑問が顔に出ていたのでしょう。
これは密偵の話から自分が推測した事だから、どこまで事実か分からないが・・・と前置きした上で、ブルーベリーお兄様が話して下さいましたわ。
『あんたの取り柄は顔と王太子という地位だけだったのよ!!!』
えっ?
実はチョコミント王家は自分達が無駄遣いをしているから貧乏だった!?
それを打開する為にラズベリーと婚約していた!?
ラズベリーの婚約者という事でチーズスフレ家に集っていたから贅沢三昧が出来た!?
ラズベリーとの婚約がなかった事になったものだから贅沢三昧が出来なくなったですって!?
王太子でなくなったあんたなんかに用はないわ!!!
『何だと!?シャイン!君は私を愛しているのではないのか!?私達の間には真実の愛がある!!』
確かに君は私を騙した
だが私を騙したという事は、それだけ私を愛しているという事なのだろ!?
私は・・・罪人となるまでの罪を重ねた君を愛しているんだ!!!
あ゛っ?
『真実の愛?何それ?』
そんな世迷言で金が手に入るのか?
大きな屋敷に住めるのか?
腹が膨れるのか?
一流レストランで食事が出来るのか?
ドレスが買えるのか?
高級ブランドの化粧品が買えるのか?
マッサージを受けれるのか?
真実の愛で贅沢が出来るのか?
真実の愛でラズベリーへの慰謝料を払う事が出来るのか?
『真実の愛?そんなもので腹が膨れるんだったら、生活が豊かになるんだったら私達は今頃貧乏で苦しんでいないわよ!!!』
あたしが朝から晩まで働いても、あんたが自分の為に使っちゃうから何時まで経っても借金が減らないのよ!?
チャーリー!さっさと仕事を見つけて働きに・・・行きなさいよ!!!
『シャイン・・・君は清らかで赤子のように純粋無垢な心優しい女性のはずだ・・・』
これは真実の愛で結ばれている私達に課せられた試練!
真実の愛で結ばれている私達であれば、神々から課せられた試練を乗り越える事が出来るはずだ!!!
シャイン・・・一体何が君を変えてしまったんだ!?
料理とドレスと化粧品なんて自分で作ればいいだけじゃないか!!!
シャインの変貌ぶりと主張にチャーリーは驚きを隠せなかったのだそうです。
「ブルーベリーお兄様?チャーリーは働いていないのですか?」
「らしいな。正確に言えば、元王太子というプライドが災いして仕事が長続きしないのだそうだ・・・」
「ご自分は働かずにシャインが稼いだ金を使う・・・・チャーリーという男は最低ですわね」
「ラズベリー・・・本当に君は耐えてくれたよ」
いい子いい子
今までの苦労を労わるかのように、ブルーベリーお兄様は私の頭を撫でて下さいましたわ。
「ブルーベリーお兄様・・・?真実の愛って何なのでしょうか?」
「さぁ?・・・・・・敢えて言うとすれば浮気?浮気を【真実の愛】と言い換える事で伴侶や婚約者を裏切っているという罪悪感から逃げているのではないのか?」
浮気する者の考えが理解出来ないから断言出来ないが・・・
「「・・・・・・・・・・・・」」
幾ら考えても頭の悪い私では真実の愛が何なのかという答えが出ませんでした。
「それよりもラズベリー。王家がどうなったのか・・・聞きたくないか?」
「教えて下さい!」
我が家から集っていた王家がどうなったのか?
これは素直に興味がありますので私はブルーベリーお兄様の話に耳を傾ける事にしました。
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