魔力もたざる者-アッシュ-

穂積蓮

第1話

魔力と魔法化学(魔族世界では単に魔法と呼んでいる)の詳しい事は魔族でさえ、全く解っていない。ただし、それは科学的には解らないと言う事だが・・・。


彼らは日常生活全てを魔力に頼って暮らしている。我々からすれば、薪に魔力で火をつける事さえ不思議なのだが・・・この世界では出来て当たり前、だから気にする必要も無く、魔力とは何か?そんな単純な疑問も生まれなかったのだろう。


しかし、どの世界も不公平なもので、魔力を持たないアッシュも、この世界にはいたのだ。


一年の7割が闇に包まれ、危険な動植物が生息する魔族世界に灯りさえ持つことができず、闇に生きる事は不可能に近い。ゆえに《アッシュ》は、長きにわたり奴隷として生きるしか無かった。


彼らアッシュは長く、虐げられた時を奴隷として耐え続ける一方で、裕福な生活を夢に描き、動植物から採取した魔力を蓄える方法を編み出し、更に独特の術式を確立させ少ない魔力でも充分な攻撃力を発揮する魔法を作り出した。


それまで魔力を直接放射し戦う、いわいる力業の魔力戦が主流だったが、魔力を源とし、術式発動により増幅した多彩な攻撃魔法の誕生により世界勢力図は大きく塗り替えられる事になる。


アッシュの魔法術は主人である魔族に重宝され一部の魔族がアッシュを戦闘に参加させ始めた。だが魔族の持つ戦闘能力と魔法術が同等レベルに達した時、彼らは自由を勝ち取る為に、奴隷解放戦争へと立ち上り、勝利を収めたのが今から3000年程前の事だそうだ。


使途が出現し出したのも、この時代であり、魔法術と使途は何らかの関係があったらしい。推測ではあるが、魔法術創成期に偶然にも使途世界との扉を開いた者が居たが何らかの原因により、その術式はロストテクノロジーとなり、その扉が何処にあるのかさえ誰も知らないままとなっている。使途世界門は丁度、人類世界でのタイムマシンと似たような話になっている。


ヘイト! Two people of the same name are Hateより

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