第2話

そして、その翌日私はついに教室で周りのことも考えずキレ散らしてしまった。なぜなら、麻莉愛が昨日と全く..いや状況が悪化してしまっていたためである。面接練習でしていたことを全て忘れていたり、覚えようというような様子がなくスマホを触って他の友人と話していた。それを見た私はブツっと何かが切れたかのように麻莉愛に怒ってしまった。


「入退場も、言うこと全て忘れてる状態で友達と話してる場合なの!?そんなことしてる暇あったら少しは覚える努力してろや!!そういう所が社会に出てから通用すると思うなよ!!あんたが頑張らないと行けないのにっ!いいかげんに現実見てよ!」


と怒鳴ってしまった。麻莉愛は無言で教室を出て行った。私は今まで我慢していたものが全て出てしまった為、言いすぎたと後悔した。

教室には多くのクラスメイトが居て、その人達は由亜那以外誰も麻莉愛の状態を知らない状態なのだ。傍から見たら私がただ意地悪しているようにしか見えなかっただろう。そして、後から由亜那に説教を受けた。

その際、私は何も言えなかった。いや、言わなかった。だって、私が酷いことを言ったのは事実だったから。その後麻莉愛はもちろん周りの皆に謝った。(由亜那以外である)そこは、しっかり筋を通して置きたかったのだ。

だが、彼女..由亜那に納得いかない所..言ってやりたいこともあった。由亜那に謝らなかったのもそれが、理由なのである。

由亜那には私が暴走をしたら必ず止めてと言って置いたはずなのだ。そして由亜那もそれに同意していた。なら、なぜ..やりすぎと言って止めなかったのかが分からない。止めなかったということは少なからず彼女もそう言わないと麻莉愛にやる気を出させる方法はないと分かっていた。....と思うのが自然..キレた私を由亜那は利用した。そう言う考えをしてまう私は愚かだろうか?


由亜那には分からないのだろう、私がキレた理由が確かに..「せっかく協力したのに」という気持ちは少なからずあった。だが、本当の理由は「そんな軽い気持ちで大学の敷居をまたいで欲しくない」というのが私の本音なのだ。麻莉愛が行く予定の大学にも


「こうなりたいからここに来た!」や「ここでならしっかりした資格が取れる!」


と言う思いで大学に行く人の方が多いことだろう。そんな人が沢山いる大学に麻莉愛のような人間が行ったとしてもすぐにやめて長続きする気が私にはどうしてもしなかった。それで喝を入れたかったからという理由。このことは誰にも言っていない。言ったとしても「はい、言い訳!言い訳は聞きたくなぁーい!」と子供のように言う人間、由亜那が居り何も言っても無駄だと思ってしまったためである。なので、この理由は墓まで持っていくとしよう。


そして、その後由亜那には「「私」の短所は、周りが見えなーい!所ー!!」と部活で大きな声で言われる始末である。キレそうだったが、もう何を言っても無駄なため何も言わなかった。


さぁ、前フリが長くなってしまったが...これが私の本当の意味で頼られているのか利用されているのかが分からないことにストレスを感じているということに気づいた一番のきっかけである。


そして麻莉愛の試験は終了した際、いつもの如く先生は由亜那にはお礼を言い私にはお礼を言わなかった。だが、その時由亜那が私にこう言った。


「「私」がどんな結果になっても何か奢ってやってくれ私にって言ったの先生だし。まぁ、言われなくてもそのつもりだったけど!...でも先生なりに「私」に感謝してると思うよ?」


と慰めるように言われる私。いや、そんなのより先生の口からちゃんと礼くらい言えねぇの?と考えたがそれを口に出さなかっただけでも私を自分で褒めたいくらいに我慢したと思う。むしろ、それに一切疑問を持っていない私の友人達がおかしいのか?それとも...私が考え過ぎなのか..?真実は闇の中にしまうこととしよう。

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