第86話

「ぁぃ」



「見てるか?」



受話器越しに偉そうな態度。



なのに今はそれも気にならないほど、煌々と輝く光に夢中になっていた。



「…見てる」



「そ。じゃっ」



遠ざかる声。



「ちょっと!!!」



あたしは大きな声で繋ぎとめる。




「ねぇなんで?」



「あ?」



「なんで1階につれてったの?」



ドキドキと胸が鳴る。




「…別?」



少し間を置いて、返ってくる王子の声。






うそ。


本当はこれ、あたしに見せようとしてくれたんだじゃないの?




「…ねぇ」



「なんだよι」



「エレベーターで何言いかけたの?」



ドキドキが、トクン トクンと柔らかい鼓動に変わっていく。




あたし

今なら言える?聞ける?



この胸の高鳴り…

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