第69話
パコーン
スコーン
パコーン
ハイレベルな試合が繰り広げられる。
まるでボールがコートの精霊であるかのように、コートに吸い付くように、吸着してまた相手コートに返っていく。
『お前はサーブだけ入れとけ』
そう念を押されて第3セット。
1-1の引き分けで迎えた第3セット。
1対2で戦っている王子。
どんな顔をしても
どんなに汗まみれでも
どうしようもなくかっこいいんだ。
コートの上、一応ラケットを持ってボールとは正反対の所へ動く、役立たずなあたし。
メンバーチェンジは認められず一人初心者のあたし。
充くん、遊び程度とか言ってたくせにかなり本気で打っているとしか思えない。
王子に勝利を与えると言っていた夫人も人が変わったかのようにマジで打ち返してきている。
さすがの王子も3セット目はきつそうで、あちらに点数が入る度に、観衆からもため息が漏れる。
そんなに必死に戦ってくれるの?
あたしのため…に?
違うよね…
きっと「王子」の顔を保つ為…
「ッ!危ないっっ!!!」
ドフッ
(痛ッ…)
…テン…テン…テン
『ゲームセットォォ!』
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