第15話

「俺を狙って入ってくる子へのスペシャルな特典。クジで『あたり』を引けば俺と一緒の部屋になれる。それをチラつかせて入学者数を稼ごうって魂胆」




理解の出来ないこの話より、そんな企画をしたおばあさまの事より何より、さっきと明らかに違う「王子様」の雰囲気にあたしは目を丸くしていた。




(俺?さっきまで僕って…)





「あんたもどーせ俺目当てで入ったクチだろ?」



腕を組んでドアの所にもたれ掛かってる姿も納得がいかない。



「あ…あたしあなたの事なんて知りませんでした!ただ憧れて入学しただけで…それにこんな2面性のある人って知ったらきっと入学者数も減るでしょうね!」




キッパリとそう言い放ってあたしは部屋から出ようとした。






まずこのスイートルームのような部屋から。


学園から。


浪人覚悟でこの学園を辞めようと一瞬で心に誓った。




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