第5話親愛なるアリーナと旅の始まり。
雨が降り出した。
山奥で私は一人、佇んでいた。
私は大きな過ちを犯したのかもしれない。
人を一人失う。
それは大きな絶望を意味した。
アリーナと別れた後、私はアリーナに謝るために町に戻った。
でもそこには悲鳴と怒号が行き交っていた。
その中心にはアリーナの夫ダンがいた。
「アリーナが悪いんだ! あの化け物を庇うから!」
「でも殺すべきはアリーナではなくあの化け物だろう!」
その言葉に耳を疑った。
そして絶望した。
あの中に倒れているのは、他の誰でもないアリーナだったのだから。
今でも思い出す。
アリーナの傷ついた姿を。
アリーナが最後まで握りしめていたお守りは私と彼女を繋ぐたった一つの物だったこと。
結局私は町を出た。
いや「追放された」が正しいのだろう。
それから私は四百六十五年の旅をした。
長くて短い旅だった。
歩き続けて、宿に泊まって、また歩いて。
一つの街に止まるのは一週間。
その間に物物交換で珍しい鉱石などと交換に食料や路銀を手に入れていた。
そしてまたたどり着いてしまった。
四百六十五年ぶりの私の故郷に。
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