第18話「ズバリ男子の水着姿について」
‐栄太郎視点‐
夏も始まり、今日から学校ではプール開き。
プール開きが始まるとどうなるんだ?
知らんのか?
女子の水着姿が拝める!
うちの学校では、男子の水着はサーファーが着るような水着を着ている。見た目は全身タイツと言えばわかりやすいか。
そして女子はというと、フリルのスカートが着いたワンピース型の水着だ。よく分からんが全身タイツもズボン判定になるらしく、この貞操が逆転した世界では、女子用の水着はスカート型になっている。
素晴らしいね。貞操逆転世界様バンザイとしか言いようがない。
これで女子の水着を拝んで楽しめる。なんて甘い話はなかった。
前にも言った通り、体育は男女別だ。つまり今はプールに女子はいない。
プールの外からは、元気の良いやけくそのような声が聞こえてくる。
女子がマラソンをしているかけ声だ。そりゃあ男子だけプールに入って自分たちは炎天下の中マラソンなんてさせられたら、ヤケクソのような声の一つや二つ出したくなるもんだ。
一応言っておくと、別に男女差別ではない。
体育の水泳は、男女交代制。なので、次の体育の授業の時は俺たちが外でマラソンになる。
「大胸筋すっげー、何それ」
「水着に縫い付けるタイプの大胸筋パッドにしてみたんだけど、どうかな?」
「マジでぱっと見パッドか分かんないわ。ちょっと触ってみても良い?」
水着に縫い付けられた大胸筋パッドにより、ちょっとだけマッチョになったクラスメイト。
そのクラスメイトにわらわらと男子共が寄ってきて、大胸筋を触っては「うわっ、本物みたいだ!」と言って騒いでいる。
「うわっ、皆気をつけろ。女子が覗いてるぞ!」
フェンス越しに覗く女子たち。
彼女たちの視線の殆どが、大胸筋パッドに釘付けになっている。
もしかして、この世界では大胸筋を鍛えた方がモテるのか?
男女がキャーキャー騒ぎ、事態に気づいた教師の怒声が響き渡る。
授業が終わり、教室に戻り、そのまま昼休みへ。
普段なら昼食を取ったら京か大倉さんに会いに行くのだが、今日は自分のクラスで待機している。
女子たちの会話に、聞き耳を立てるために。
手に持ったスマホを弄る振りをして聞き耳を立てていたら、早速目的の会話が聞こえてきた。
本人たちは小声で周りに聞こえないように会話しているつもりなのだろうが、ここは遮蔽物のない教室。
注意深く聞き耳を立てれば余裕、と言うほどではないが、会話内容がギリギリ分かる程度には聞き取れる。
彼女たちの会話内容は、ズバリ男子の水着姿についてだ。
どの男子がエロかったか。男女の貞操観念が逆転してもこの辺りは変わらないな。男が言うか女が言うかだけの違いだ。
とはいえ、男女が入れ替われば、当然趣味嗜好も色々変わってくる。
元の世界では、男子が女子の身体の柔らかさ的な部分で興奮していたのに対し、こちらの世界の女子は男子の身体の硬さに興奮を覚えるようだ。
鍛えて硬そうな体の男子の事を良いなと言えば、女子たちは同意をするが、逆に鍛えてないだらしない体に対しては「それなら女子同士で触ってればいいじゃん」みたいな反応が多数だ。貧乳派に近い扱いなのだろう。
鍛えていないぷにぷにボディも、それはそれで特殊な需要があるみたいだけど、基本鍛えた方が良いは分かった。
京攻略の糸口がこれで見えてきた。
女子たちは基本鍛えた男の身体が好き。ならば京も鍛えた男の身体は好きなはずだ。
とりあえず、近所をジョギングするところから始めてみるかな。
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