明日の空は何色
I藍ス
10月25日(金)
「じゃーん」
同級生のミクが私の机に、そこそこの大きさのある個包装の袋を広げてきた。
「こっちがナースで、これがチャイナで、こっちが警察で、これが……」
「買すぎじゃない??」
10月31日のハロウィンパーティーのための衣装が入った袋だ。
「オススメはこれ!」
そう言うと、2着の衣装を袋から取り出した。
「動きにくそうなんだけど」
「可愛いじゃん、オススメだよー。かわいいよー」
これがいいってことね
「これにしようか」
「やったー!これに決まるって思ってた!」
余った衣装はどうするんだろう、と思っていると、バシャバシャと写真を撮り始めた。
フリマサイトに出品するんだろう。新品だし高く売れるぞーと意気込んで出品している。
「マナは、この後バイト?」
「今日はないよー」
「作戦会議に行こう!」
そうして連れてこられたのはチェーンの喫茶店「コダマ珈琲」
いつも頼んでいる、どでかアイスウインナーを2つ注文してくつろぐ。
「学校終わったら、教室で着替えてそのまま渋谷行こうねー」
「お菓子どうする?」
「明日の放課後、買いに行こう!!あ、メイクはマナにお願いしたいの」
「わかったよー」
「衣装、破ったり加工する?」
「うん!ゾンビみたいにしたいなー」
「じゃあ、血糊も明日買い行こう」
昔は人でごった返していた渋谷だけど、今では規制がされていて過ごしやすい場所になっているらしい。
ただ仮装して、お菓子の交換をして写真を撮って、楽しめればいい。
同じクラスの子たちも何人か行くって言ってたし、会えたらいいな。
「一通り楽しんだら、ミクの家に来てね」
「お父さんは?」
「昨日から海外」
「忙しいんだね」
ミクのお父さんは有名お菓子メーカーの海外支社と日本支社を行ったり来たりする、忙しい人だ。
ハロウィンのこの時期だから、余計に忙しいんだろう。
___
ミクとの出会いは高校の入学式。
たまたまクラスが一緒になって、たまたま隣の席になったのが始まり。
___
「ねー、それさふたりでスイキュアのグッズだよね?」
「え、うん」
机の横にかけていたスクバについているスマホの形をしている変身グッズが気になったらしい。
ミクも自分のスクバを出してきて、色違いのグッズを見せてきた。
ミクのグッズを持っているキャラクターは女の子から大人気で、天真爛漫ながらも、可愛らしくて、華奢でThe・女の子なキャラクター。
対して私が好きなのは、男まさりで、敵にも真っ先に立ち向かう勇敢で、ボーイッシュな女の子。
この時、キャラクターと似てると思ってたんだよね。
その日の放課後はミクと「コダマ珈琲」に行って、スイキュアについて語り合った。
次の日から、お昼も放課後も大体の時間はミクと過ごしていた。
___
「ということで、テーマは【
花嫁はもちろん私で、お婿さんはマナね!」
高校生最初のハロウィンが始まろうとしていた。
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