一学期
第33話 閑話休題
「桜杯が終わってから喪失感がえぐい」
「2ヶ月後に大会あるんだし、その内喪失感も喪失するよ」
「綾人、今のはボケたのか?それとも素なのか?」
「へ?」
「なんでもない。忘れてくれ」
先の大会が終わってからと言うもののやることが無さ過ぎて暇である。
暇なら勉強しろ?そういうこと言わない方が良いよ。友達減るし
とまぁ、勉強以外のやることが何かあるかって言われたら無いって答えるしかないので大人しく暇を享受しているわけだ。
「そんなに暇なら大会出たら良いじゃん」
「地方大会なんか出たらパワーバランス考えろって炎上するに決まってんじゃん」
「それはそう、この時期って四大大会以外の有名大会が丁度ないし暇っちゃ暇なんだよね」
「海外の大会とかは?」
「良さげなのがなかった」
「もう調べてんのか」
「夏には面白そうなやつがあるんだけどねぇ。それまでガンマするしかない」
「どこの大会だ?」
「中東の大会」
「………は?」
やることが無さすぎて海外の大会とかを調べたついでに面白い大会があったからエントリーしてみたんだよね。
中東の有名な大会で日本ではあんまり知られていないけど海外じゃ有名らしい。
「ちなみに名前は?」
「ドバイ現代戦って書いてあった」
「ちょー有名なやつじゃん」
「日本だとあんまり聞かないけどね」
「日本が遅れてるだけ。世界で2番だか3番目に有名な大会だぞ」
「ちなみに1番は?」
「コロッセオ」
「あぁ〜、聞いたことある」
コロッセオは名前だけは聞いたことがある。確かイタリアで開催されている国際試合だ。
その名の通り世界遺産のコロッセオを模した会場で一対一のタイマンをトーナメントで行っていく大会だ。
「コロッセオかぁ、いつか出てみたいなぁ」
「どうせ出るなら優勝目指したいよね」
「綾人とか真也はワンチャンいけるんじゃね?魔法に関しては現時点で世界レベルだし後は戦闘センスだけよ」
「それが一朝一夕で身に付いたら苦労しないっての」
と散々喋っているが、結局暇を解決する案は思い付かない。というか話がいつも脱線するし必然だね。
そんなわけで暇を持て余した俺たちは結局いつも通りに学校内にある鍛錬場で模擬戦形式の鍛錬をする。
「真也の魔法を創作する才能が俺にもあればなぁ」
「それを言うなら綾人の基礎属性全部乗せが俺にもあればって話にもなってくるよ」
「属性魔法すら使えない俺を見ても同じことが言える?」
「「湊には近接戦闘っていう才能があるじゃん」」
無い物ねだりをしながら己を鍛えていく。こんな風に無い物ねだりをしたところでただ新しい才能が突然ピョコって生まれてくるわけでもない。
詰まるところ、大人しく自分が今持っている”すでに配られているカード”を磨くのに専念するしかないのだ。
まぁせっかくだし俺たちが今持っているカードを紹介することにしよう。
まず俺。
中学生から鍛えている近接戦闘は言わずもがな。その他には魔力の総量が平均よりも多いぐらいだ。とは言っても長所と上がれるレベルではない。
後は3歳から始めた無属性魔法のお陰でシールドがクソ硬い。多分そんじょそこらの魔法攻撃は普通に防げる。
まぁ、俺の持っている手札はこんなもんかな。
次に綾人。
言わずもがな基礎属性が全て詰まっているから火、水、植物、岩石、電気とかの全ての魔法が理論上使える。うーん、チートかな?
そして膨大な魔力を持っているおかげで、本来なら、魔力消費も激しい複数の属性を組み合わせた魔法もバンバン使える。
普通に羨ましい性能をしてる。
これにプラスして最近は近接戦闘をできるようになってきてるんでしょ?
最終的にこの世の全てを支配する魔王にもなるんじゃねえかな?
最後に真也。
火、岩石の基礎属性に加えて、家系に伝わっている氷と言う属性も扱うことができる。
綾人みたいに基礎属性すべての魔法を使えるわけでは無いけれど、その代わりに既存の魔法の改良だったり、新しい魔法を創作することが得意。
魔力も綾人ほどじゃないけれどちゃんと多いし、なんなら魔法を改良したりして魔力の消費を抑えたりしていることが出来るからぶっちゃけ言うと綾人より厄介かもしれない。
こうやって並べてみると2人に対して俺のカードしょぼくね?
ポーカーで例えたら綾人と真也はフラッシュとかストレートを持っているのに俺だけツーペアみたいな感じよ。
ついでにさっきの大会に俺が勝った理由もポーカーで説明するなら、俺はブラハを張るのが上手いんだと思う。
とまぁ俺たちの説明はここまでにして話を戻すけど、たとえツーペアでも頑張れば状況次第では勝てるようになるし、そのためにも自分の手札と向き続けて磨かないといけない。
「それにしても変わり映えがなさすぎる」
「何よ‼︎私たちじゃ不満だって言うの?」
「ひどい‼︎私たちとの関係は遊びだったのね‼︎」
「真面目に」
「別に毎日このメンツで鍛錬するのも楽しいだろ」
「右に同じく」
「それはそうなんだけどさぁ……なんかアクセント欲しくない?」
そんな風な会話をしていたある日、教室で雑談をしていたら聞き覚えのある声と見覚えのある顔が来た。
「おっ、勇者くんじゃん」
「湊、勇者くんが呼んでるぞ〜」
この時の俺の顔をクラスメイトに聞いたところ、見たことない悪人面だったそうな。
「新しいおもちゃ発見〜」
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