魔法全盛期のこの時代を逆行するかのような男が俺です(旧:最強の俺がいろんな人をボコボコにしたら大量のアンチがついちゃった件)

ヤンミョムチキン

第1話 プロローグ

とある宇宙のとある星、その星は地球と呼ばれていた。


その星は発達した知能を持ったヒトという種族が生態系の頂点に君臨しており、彼らは言語やモノ、そして魔法を駆使し栄華を極めていた。


魔法_____

人間の体内にある魔素を消費し様々な物質を創ったり自然現象を発生させることができる。名前は違えど人類はこの魔法を使い発展してきた。

時に人を救い、時に人を殺してきた魔法は人類の歴史そのものだといっても過言ではない。太古の昔に魔法を発見し今日まで様々な人間が生まれ、彼らが世界を動かしてきた。そして今日も新たな生命が誕生する。



そんな世界で1人の男が生まれた。名前は間宮湊。

この物語はその男の物語である。





「湊?もう病院に行く時間よ」


母親の声に反応して僕は急いで階段を降りる。初めまして、間宮湊って言います。三歳です。

今日は親に病院に行きます。というのも僕の魔法の適正属性を調べるために病院へ行く。


本当なら五歳にやるんだけどね。お母さんに「魔法をやりたい」って言ったらこうなっちゃった。


適正属性とは自分が使える魔法の属性のことで、自分がどんな魔法を使えるかはDNAで決まります。だけど人間はまだDNAから適正属性を検査する方法を確立していないから体に属性が定着するまで待たないといけないし、生まれた直後に属性が判明するのはまだまだ未来の話らしい。




適正属性の検査は意外と採血だけで済んでしまう。しかも採血といっても血が数滴あれば済む。針で指先をチクッとした後病院の待合室でしばらく待っているとどうやら僕の属性が分かったようだ。


「間宮湊さんに適正属性はありませんね」


その後、お母さんと医者がなんか難しそうな話をしていたのは覚えている。具体的にどんなことを話していたかは覚えていない。




「僕って魔法使えない?」


病院帰りに母親に恐る恐る聞いてみた。もしかしたら僕は魔法を使えないのかもしれない。そんな不安を遮るようにお母さんは答えた。


「魔法は使えるわよ」


「でも属性が...」


「属性魔法は使えないかもしれないけど無属性魔法は使えるし問題ないわ」


無属性魔法と属性魔法の違いはこの時の僕はいまいち理解できなかったがひとまず、自分にも魔法がつけるという事実がうれしかった。


「明日、一緒に本屋で魔法の本を買おうね」


「うん」





「ただいま、湊は?」


「もう寝たわ」


「そうか」


夜、仕事から帰ってきた男は今日のことを聞いた。


「属性魔法なしか...」


「医者は隔離遺伝の可能性があるって言っていたわ。碧眼と同じだって」


「うちの先祖に湊と同じ特徴の者がいたのかもしれない。だが別に問題はないだろう」


「家のほうは大丈夫ですか?」


「分家の連中がいろいろ言ってくるかもしれんが大丈夫だ。もし何かあったらすぐに行ってくれ」


「はい」


江戸から続く魔導士の家系、それも本家の子供が属性魔法なしとなると少なからず声を上げる人間が出てくる。男は一抹の不安を抱きつつ自分の息子のことを案じた。


「湊がどんな風に育つのかが楽しみだな」


「えぇ、誰かのように魔法ばかり考える人にならなければいいのですが」


「フフッ、そうなったら私も笑ってしまうかもな」





翌日、お母さんと一緒に本屋で魔法の本を買った。

お母さんにはこっちのほうが簡単と別のものを進められたが僕はこっちがいいと駄々をこねた。結局お母さんが薦めてきた本と自分が選んだ本の二つを買った。




「何言ってるのかわからない...」


「だから言ったじゃない」


僕が選んだ本は内容が難しすぎた。お母さんが薦めてきた本から勉強していこう。

いつか自分が選んだ本を理解できるようになりたい。当分の目標だ。



「無属性魔法ってもしかして種類が少ない?」


「そうね。シールド、魔法団、あとはアイテムボックスぐらいかしら」


「それしかないの?」


「ほかにもたくさんあるわよ?

例えばこんな風に蝶々を作ったりできるの。だけど奇麗なだけで特に意味はないわ」


「ふーん」



この時は無属性魔法魔法のバリエーションが少ない外れだと思っていたが、本を読んで勉強していくうちにそんなことも考えなくなった。逆にシールドや魔法弾は極めれば極めるほど強くなっていくほかの属性魔法にはない唯一無二のモノだと感じるようになっていた。



「属性魔法は術式が複雑だから一定以上の威力は出せないの。だから普通は使える魔法の種類を増やしていくんだけど湊の使う無属性魔法は一つの魔法を無限に極めることができるのよ」



とお父さんやお母さんがよく言っていたのを今でも思い出す。


毎日毎日、無属性魔法を練習する。

来る日も来る日も。

いつしか季節は過ぎ去り、俺は中学生になっていた。

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