第15話
卒業式が終わり帰りのホームルームも終わった。
みんな教室で思い思いに過ごしている。
萌は帰りの仕度をして急いで校門まで向かった。
外に出ると写真を撮っている生徒達が
いっぱいいた。その人混みの中から一際背の高い
人物を見つける。向こうも萌に気付いて
よぉ!といった感じで右手をあげる。
拓真「お疲れさん。
卒業おめでとう」と後ろに隠していた
左手を前に持ってくる。
萌「綺麗…」その左手にはピンクの18本のバラが
握られていた。
拓真「だろ?どんな色がいいかなーって
めちゃくちゃ考えてこれにした。
なんかピンクのイメージだったから」
萌「ありがとう…本当に嬉しい」
なにやら背後から複数の視線を感じる。
「なにあの人、めっちゃかっこよくない?」
「あの車すごっ!」
ヒソヒソ皆が話しているのが聞こえてきて
萌はちょっと悲しい気分になった
萌「来なくていいって言ったのに…
目立ってるよ?早く帰ろ?」
拓真「卒業式だぞ?一生に一度なんだから
いいだろ?
それに俺は社長だぞ?」
萌「そういうのいいから」
萌は拓真のスーツの裾を引っ張って
すぐ側にある車に拓真を押し込んだ。
萌も後ろの席に乗り込んで座る。
秘書「萌さん卒業おめでとうございます」
萌「ありがとうございます」
秘書「4月からは拓真さんの秘書になられるん
ですよね。一緒に働けるのを
楽しみにしてます。」
秘書はバックミラー越しに微笑む
萌「私の方こそ宜しくお願いします。
第2秘書ですけどね」
萌も微笑み返す、、と拓真が後ろを振り返って
こちらを見る。拓真は黙ったまま萌の顔を見つめる
萌「な、なに?あたしの顔になんかついてる?」
萌は鞄から携帯を取り出し携帯のカメラを鏡代わりにして顔を確認する。
拓真「いや、笑顔が増えたなぁーと
思ってさ」
萌「なんだ、そんなことか。
だったらずっと黙ったままでこっち見ないでよ」
拓真「そんなことかって。
大事なことだろ?
笑顔に見とれてたんだよ」
萌「かっこつけなくていいから。
それに笑顔が増えたのはお互い様でしょ?」
拓真「そうだな」
拓真はふんっと笑った。家まで帰る道中
外の景色を見ながら拓真もまた出会った頃の
ことを思い出していた
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