家の近くに量産型ぶっ壊れダンジョンが出来て最強になれたのでイキり倒すことにしました
Leiren Storathijs
プロローグ1
ある日起きた全国同時多発ゲートブレイクによって家族全員、俺一人残して死んだ。だが俺は怒りも、悲しみも、悔しさも一切の感情が湧かなかった。あるのはただひたすらに面倒と思うだけの虚無感。
というか家族に良い思い出なんて一つも無かった。理由のないストレス発散のための虐待に、いくらいじめがあっても誰一人無視、「お前が弱いからいつになっても解決しないんだ」と怒る親。正しく親ガチャ失敗というやつだ。
だから俺はなにもかも面倒になって自室に引き篭もり、自分が強くなったと勘違い出来る無双ゲーにひたすらに浸った。
以降家族とは顔さえも合わさず、いくら部屋のドアを叩かれようが無視し続けた。自分が無視された時のように。
そこでふとスマホで気になったニュースを見る。見出しには『全国に突如現れた謎の穴』。見た目は青白い渦が宙に浮いて作られており、ある人が穴に入った時には、中には無数の異形の化け物がいたという。これは1年前の出来事だ。
政府はこれを重要警戒区域として、穴をゲートと呼んで、地域周辺を立ち入り禁止にすることで、勝手にゲートに侵入する輩は現れなかった。
しかしこれは10ヶ月前、ゲートブレイクという大事故が発生する。調査もなにもせずに、警備を置いて見張っていた政府だが、知らず内に大きく膨れ上がっていたゲートは突如内側から破壊され、無数のモンスターが日本を蹂躙した。
モンスターはいかなる現代兵器も通用せず、モンスターを撃滅、ゲートに帰還させる、動きを止める等々、さまざまな作戦が実行されるも、全てあえなく失敗に終わり、日本は滅亡の危機に瀕された。
だがそこで突如、多くの人々が超能力に覚醒する。彼らは皆超常的で、驚異的な力を持って溢れたモンスターを次々と撃破し、政府は彼らを『覚醒者』と呼んだ。
ゲートの中は全くの別世界に繋がっており、種類も様々で、中にいるモンスターもある程度の強さに違いがある。これはダンジョンと呼ばれるようになった。
ダンジョンの中で倒されたモンスターは必ず体内に
9ヶ月前。よって政府はこれを管理する組織、覚醒者保安協会を設立。覚醒者はかならず協会の会員に登録し、政府は軍資強化と覚醒者は自身の強化という名目により、互いは協力しあうことになった。
そうして数えること3日前、俺もついに覚醒者となった。他の人間も覚醒する前はなんらかの戦闘に精通していた訳でもなく唐突に訪れるらしいが、自分でもさっぱりだった。
だから俺は早速、保安協会に行き、会員登録をしてもらった。
会員登録は覚醒したことを証明をするために、必ず覚醒者をランク分けにされる。
ランクは
初心者よりも低い、
どうしてこんな階級の名前が名付けられているんだ……? どう考えても協会が弱い覚醒者をバカにするために作っただろ。としか思えない酷さだ。俺は哀れみをもった目で受付の人に慰められる。
「そう落ち込まないでください。タレントゼロはそれこそ成長が著しく遅くなりますが、何れは誰でもマスター以上になれるんです。なので諦めないで!」
いずれっていつだよ! あぁ、意気揚々に会員登録してきたというのに、明るい未来は今目の前から消えた気がする……。
そうして俺は家に帰り、下がり切った気分が戻らないまま現在に至る。
「はぁ〜……なんもやる気しねぇ……」
受付の言う通り、いずれは誰でも強くなれるという言葉は事実で、今からでも弱いモンスターしか出てこないダンジョンに潜って、モンスターを倒して、魔核を売れば強くなれる道は少しだけ短くなる。
しかしタレントゼロは訳が違う。一言で言えば、覚醒前と後で変化がほとんど無いということ。
分かりやすく言えば、軟弱で喧嘩もしたことがない人間が、覚醒によってちょっとだけ重たい荷物が持てるようになる程度だ。ダンジョンに潜るなんて自殺行為に等しい。
「あぁ〜一般人でも攻略できるゲートとか出て来ねえかなぁ〜」
出てくる訳がない。去年のゲートブレイクから出てきた今までの最低級のゲートですらも、ビギナーがギリギリ攻略できる難易度何だから。そう思っていた。
そう単なる欲望を口に出した途端だった。俺の家の自室、ベッドのすぐ横にゲートが開いてしまった。
「は……?」
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