ダラダラ鼠から、世界への覗き

だらね

第1話 葉が黄ばむ、秋風に乗り、旅立つや

 道端のポプラの葉が黄ばんできたのは、これから秋のくすぐったい風に乗り、死の旅に出る時である。

 もちろんその前に、残暑にじゅうりんされてしまうのだ。

 二つのまばゆく、目で捉えにくい羽の影が、消えていこうとする炎天下に照らされ、輝いてる。

 それは黒い蝶が、力の弱い振動で枝葉の隙間に潜り込み、もう姿を見つけ出すことができないのだろう。

 

 夏が去り秋が来るというのは、ぼんやりしてる間にこっそりと流れていくことにすぎまい。

 逆にオレは、どれくらいひとりで優しい霧に覆われる街に歩き続けていたのかな。

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