被害者と加害者の無い事件?

天川裕司

被害者と加害者の無い事件?

タイトル:被害者と加害者の無い事件?


(NA:佳代)


ピンポーン…ピンポーン…


佳代「え?」

いきなり夜中にインターホンが鳴った。

「隆史かな?」と思って玄関まで行ったけど

どうも様子が変。


私は今、つい最近できた恋人の隆史と同棲しており、

隆史のマンションに一緒に住んでいる。

その隆史は夜遅くまで働いていて

確かにもうすぐ帰ってくる時間ではあった。


でも…

佳代「普通、鳴らさないよね…」

まさか自分の家に帰ってくるのに

インターホンは鳴らさない。

そもそも隆史はインターホンを鳴らす癖がなかった。

だから少しおかしいと思ったのだ。


佳代「あ、はい、どちら様ですか…?」

とりあえず聞いてみた。

でもドア越しの向こうからは何の返事もない。

スコープから少し覗いて見てみたが、

見えない所に立っていたのか誰も居ない。

そして向こうはシーンとしている。


私は嫌な予感がしたので出なかった。

そしてとりあえず隆史に電話した。

佳代「……もう!なんでこんな時に出ないのよ!」

帰り道を急いでるんだろうか。


警察にも電話してやろうかと思ったが

さすがにそれは少し。

とりあえず隆史が帰ってくるのを待った。


ガタン、ガタンと玄関の方から音がして、

ビクッとなったが、いつもの日常の音にかわり、

隆史「ただいま〜」

と隆史が部屋に戻ってきてくれた。


佳代「もう隆史〜!」

隆史「な、なんだよwどうしたんだよお前w」


私は今起きた事の始終を全部伝えた。

隆史「え?誰かわからない人?」

佳代「そうなのよぉ。なんか黙りこくっちゃって、ホント気味が悪かったわ」


している内にまたインターホンが鳴った。

ピンポーン…ピンポーン…


隆史「……………」

佳代「……ね?ほら鳴ってるでしょ?汗」


隆史は首をかしげながら「今頃誰だろ?」なんて

やっぱり不思議な顔をして、とりあえず玄関へ行った。


隆史「…はい?あのーどなたですか?」

「…………」

やっぱり向こうはシーンとしている。

隆史「…あの!迷惑なんでやめてもらえませんか!?」

だんだん腹が立ってきた隆史は、

おもむろにつっかけも履かないで玄関へ降り、

ドアを開けようとした。

一発怒鳴ってやるつもりだったんだろうか。


でも私は怖くなり、

佳代「ちょ、ちょっと、やめときなよ!」

と言ったが、

隆史「なんで?!」

佳代「誰かもわかんないのよ!それに何だか嫌な気がするの!」

隆史「大丈夫だよ!」

そんなやり取りになり、隆史は結局

玄関のドアを開けた。


隆史「…………」

佳代「……ねぇ、誰か居る…?」

誰も居ない。


(NA:隆史)


それが佳代の最後の言葉になり、

振り返るとそこには青白い女が立って居た。

俺はその場に腰を抜かしながらひと言…


隆史「お、お、お前……」

俺が前に付き合っていた元カノ。

そして彼女はふっと消えた。


俺は今、警察の取り調べを受けている。

被害者と加害者は確かに居るのだろうが

この世に居ない…?

佳代はあれから本当に姿を消してしまった。

もし思った通りの展開なら、

俺が釈放される日はあるのだろうか。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=ReAF40uHHwo

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被害者と加害者の無い事件? 天川裕司 @tenkawayuji

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